研究実績の概要 |
前年度に得られた知見に基づき、本年度はメチルシトシン検出用のデバイス開発をクレッチェマン配置型SPRをベースとして行った。研究代表者は、これまでに携帯型のSPR角計測器を開発している。この計測器を読み取り装置とする使い捨てのマイクロセンシングチップを作製した。マイクロセンシングチップ内に配置された平坦な厚さ50 nmの金薄膜をスパッタリング法でガラス基板上に作製した。さらに、カルボキシデカンチオールを含むトルエン溶液に浸漬することにより、金表面にカルボキシル基を固定化した。さらに、カルボジイミドカップリング法によりアビジンを固定化した。一方、流路深さ20ミクロンの薄層流路をポリジメチルシロキサンで作製し、金薄膜を有するガラス基板と貼り合わせることにより、マイクロセンシングチップを作製した。 測定対象シトシンがミスマッチであるビオチン化2本鎖DNAをマイクロセンシングチップへ導入することにより、アビジン-ビオチン反応により2本鎖DNAが補足される。その後、抗メチルシトシン抗体を導入し、外向きの(メチル/非メチル)シトシンと抗体との結合、つまりメチル化状態をSPR角変化から検知した。 測定対象シトシンがメチル化されている場合には、DNA濃度に依存したSPR角度上昇が確認された。一方、メチル化されていない場合には、SPR角度上昇は見られなかった。このことから、単一シトシンレベルでのメチル化情報取得が可能になった。加えて、測定対象シトシンをミスマッチとする際に、バルジ、AP-site, C/C,C/A, C/Tミスマッチとして測定したところ、SPR角度上昇はバルジの際に大きな角度変化を示すことを明らかにした。
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