①平成26年度研究において開発した、シアノ基を持つ高発光型シリル化ピレンについて、置換位置の異なる2種類のシアノ基修飾シリル化ピレンを合成し、これらを当初計画に従ってクリック反応を用いてオリゴDNA中に導入可能な、アジド基結合型誘導体へと変換した。これらを予めアルキニル基を持つ非ヌクレオシド性スカホールドを3'末端付近及び5'末端に導入した修飾DNAと反応させて、ステム中の隣接した2カ所にシアノ基修飾シリル化ピレンを持つ2種類のモレキュラービーコンプローブを作成した。これらのプローブでは相補鎖非存在下で観察される顕著なエキシマー発光が、相補鎖存在下でのみ大きく減少することが観察された。 ②平成27年度に引き続き、ヒトパピローマウイルス遺伝子診断用プローブとして、C-5位アントラキノン結合デオキシウリジン残基及びC-5シリル化ペリレン結合デオキシウリジン残基を併せ持つモレキューラービーコンプローブについて、強毒性のHPV16及びHPV18のそれぞれに相補的な2種のプローブを合成し、標的DNA存在下及び非存在下での蛍光挙動を測定した。その結果いずれのプローブも標的存在下でのみその蛍光強度が大きく(14~26倍)増強することを確認した。また、HPV16用プローブとHPV18用プローブ何れにおいても、蛍光の増大は特異的標的鎖存在下の場合だけであり、他の標的との交差反応を示さない、特異性の高いプローブであることを確認した。 以上の成果に付いては国内及び国際学会で発表した。
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