研究課題/領域番号 |
26410177
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
水野 稔久 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90345950)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 膜蛋白質 / 膜蛋白質可溶化試薬 / 生体直行反応 |
研究実績の概要 |
これまでに我々が開発に成功している新規の膜蛋白質可溶化試薬DKDKC12K に対し、生体直行反応の1つであるヒュスゲン環化反応を可能とするアルキニル基を修飾した新規の化学反応性膜蛋白質可溶化試薬Alk-C3-DKDKC12Kを開発し、膜蛋白質ゲル化試薬としての機能評価を行った。まず初めに、アルキニル基を修飾したことにより膜蛋白質可溶化試薬としての機能が失われていないかどうか、臨界ミセル濃度、水中での会合挙動、膜蛋白質を可溶化した際の膜蛋白質への影響に関して検討を行った。しかし、いずれについても元々膜蛋白質可溶化試薬として機能することが分かっているDKDKC12Kと同様な性質の維持がみられた。そこで、シアノバクテリアの光合成に関与する膜蛋白質である光化学系I(PSI)をモデル膜蛋白質として用い、PSIをAlk-C3-DKDKC12Kを含むバッファー溶液に可溶化した状態での、in situヒュスゲン環化反応を、銅触媒下、アジド誘導体を添加して検討した。50℃で4時間の反応条件で検討を行ったところ、アジド化合物のアルキニル基への効率のよい修飾が、ゲル電気泳動による分析から確認された。またここで、ポリマーの両末端にアジド基を持つ二官能性アジド化ポリマーを用いることで、PSIの変性を抑えたゲル化にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究目標として掲げていた2つの項目(「生体直交性反応が可能な官能基を修飾した新規の膜蛋白質可溶化試薬の開発及び、二分子膜形成分子の開発」、「生体直交性反応が可能な官能基を修飾した新規の膜蛋白質可溶化試薬及び、二分子膜形成分子を利用した、膜蛋白質ゲル化手法」)に関して、いずれもその目的をほぼ達成するができた。次年度の研究目標達成に向けて、さらなる試薬開発やゲル化手法の拡張を進めていく予定であるが、現状次年度の研究目標に十分着手可能な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の検討により、膜蛋白質の変性を抑えたゲル化手法が反応性の膜蛋白質可溶化試薬の開発を元に可能となることが明らかとされたため、次年度は、それに続く研究目標となる「生体直交性反応が可能な官能基を修飾した新規の膜蛋白質可溶化試薬及び、二分子膜形成分子を利用し作製した膜蛋白質ゲルからのナノ構造体の作製」に関して、取り組んでいきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究目標であった「生体直交性反応が可能な官能基を修飾した新規の膜蛋白質可溶化試薬の開発及び、二分子膜形成分子の開発」、及び「生体直交性反応が可能な官能基を修飾した新規の膜蛋白質可溶化試薬及び、二分子膜形成分子を利用した、膜蛋白質ゲル化手法」を達成するための候補分子として、研究申請の段階で複数の分子を挙げていたが、幸いなことにその内の1つを作成することで、取り敢えずの研究目標は達成された。しかし、次年度以降の研究目標達成のためには、他の候補分子に関しても合成し、その機能評価を行っていくべきであったが、そちらは時間的に検討ができなかった。そこで、次年度以降もこの遅延した部分にも取り組んでいくために、研究予算の繰越使用をお願いしたい。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度中に検討できなかった、「生体直交性反応が可能な官能基を修飾した新規の膜蛋白質可溶化試薬の開発及び、二分子膜形成分子の開発」、及び「生体直交性反応が可能な官能基を修飾した新規の膜蛋白質可溶化試薬及び、二分子膜形成分子を利用した、膜蛋白質ゲル化手法」を達成するための他の候補分子の合成と機能評価に利用する。
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