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2015 年度 実施状況報告書

あらゆるインフルエンザウイルスを捕捉・検出する糖鎖修飾三量体核酸の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26410180
研究機関神戸大学

研究代表者

江原 靖人  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (40251657)

研究分担者 中村 晴信  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (10322140)
開發 邦宏  大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (70419464)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードインフルエンザ / ヘマグルチニン / DNA / シアリダーゼ / シアリルラクトース
研究実績の概要

インフルエンザは現在最も感染の拡大が危惧されている感染症の一つであり、ヒト、トリへの感染は、ウイルスの変異が速いため社会的な影響が大きい。インフルエンザ治療薬の主流はタミフルをはじめ、インフルエンザ表面のシアリダーゼという酵素の機能を阻害する化合物であるが、シアリダーゼの変異速度は非常に速く、既にタミフル耐性のウイルスも出現している。この問題に対処するため、変異したウイルスに対しても効果のある化合物の開発は重要である。また、インフルエンザウィルスの感染拡大を防ぐためには、迅速キットの感度の向上も同様に重要である。
インフルエンザ表面には、シアリダーゼの他にヘマグルチニン(HA)という糖鎖レセプターが存在し、このタンパク質も感染に重要な役割を果たしている。このHAはウイルスの変異によっても比較的保存される確率が高いことが知られており、HAをターゲットとする化合物は新型、季節性だけでなく、今後出現するであろうあらゆるインフルエンザに対しても感染阻害効果がある。また検出キットと組み合わせることにより、検出感度の向上が期待される。
これまで、DNA上にシアリルラクトース(SL)残基6個を三角形の頂点に配置した3量体構造核酸を合成し、インフルエンザウイルスHAとの相互作用を調べてきたが、今年度はウイルスノイラミニダーゼにより、糖鎖部分が分解される点を改良した、新たなヌクレオチドを合成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ノイラミニダーゼ耐性の、シアリルラクトース修飾ヌクレオチドの合成が完了したため。

今後の研究の推進方策

ノイラミニダーゼ耐性の、シアリルラクトース修飾ヌクレオチドをDNA中に導入し、インフルエンザウイルスとの相互作用を確認するとともに、ウイルスのノイラミニダーゼに対する耐性があることを確認する。

次年度使用額が生じた理由

糖鎖合成の試薬を当初の見積もりよりも安く購入することができたため。

次年度使用額の使用計画

糖鎖修飾DNAの合成に必要な酵素(DNAポリメラーゼ)の購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)

  • [学会発表] シアル酸修飾オリゴヌクレオチド担持ナノ粒子を用いたインフルエンザウイルスの検出2016

    • 著者名/発表者名
      赤松大地、山部美幸、江原靖人
    • 学会等名
      日本化学会第96春季年会
    • 発表場所
      同志社大学(京都府・京田辺市)
    • 年月日
      2016-03-24 – 2016-03-24
  • [学会発表] あらゆるインフルエンザウイルスと結合するシアル酸修飾3-way junction DNAの合成2016

    • 著者名/発表者名
      山部美幸、開發邦宏、江原靖人
    • 学会等名
      日本化学会第96春季年会
    • 発表場所
      同志社大学(京都府・京田辺市)
    • 年月日
      2016-03-24 – 2016-03-24
  • [学会発表] Sialyllactose-modified 3-way junction DNA as a inhibitor of influenza hemagglutinin2015

    • 著者名/発表者名
      山部美幸、赤松大地、開發邦宏、加藤修雄、江原靖人
    • 学会等名
      Pacifichem 2015
    • 発表場所
      Hawaii, USA
    • 年月日
      2015-12-17 – 2015-12-17
    • 国際学会
  • [学会発表] Detection of influenza viruses by using oligonucleotide-based sialic acid-modified nanoparticle2015

    • 著者名/発表者名
      赤松大地、山部美幸、江原靖人
    • 学会等名
      Pacifichem 2015
    • 発表場所
      Hawaii, USA
    • 年月日
      2015-12-17 – 2015-12-17
    • 国際学会
  • [学会発表] Expanding glycoconjugate library on DNAs and its enhanced affinity to lectins2015

    • 著者名/発表者名
      江原靖人、乃村勇輝、松田美加、山部美幸、赤松大地
    • 学会等名
      Pacifichem 2015
    • 発表場所
      Hawaii, USA
    • 年月日
      2015-12-16 – 2015-12-16
    • 国際学会
  • [学会発表] あらゆるインフルエンザウイルスを捕捉するシアル酸修飾3-way junction型DNA2015

    • 著者名/発表者名
      山部美幸、乃村勇輝、松田美加、赤松大地、浅井佑介、江原靖人
    • 学会等名
      第61回高分子研究発表会
    • 発表場所
      兵庫県民会館(兵庫県・神戸市)
    • 年月日
      2015-07-17 – 2015-07-17
  • [学会発表] あらゆるインフルエンザウイルスを捕捉する シアル酸修飾 3-way junction 構造 DNA2015

    • 著者名/発表者名
      山部美幸、赤松大地、開發邦宏、江原靖人
    • 学会等名
      第64回高分子学会年次大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道・札幌市)
    • 年月日
      2015-05-27 – 2015-05-29

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公開日: 2017-01-06  

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