研究課題
平成28年度は、ヘテロなリガンドを共有結合で架橋した改良二量体ペプチドの調製と生理活性、非作動薬の前投与による受容体プライミング能の検証、光親和性プローブを含むFPR2選択的ペプチドの開発をおこなった。まず、FPRの2つの受容体サブタイプFPR1とFPR2に選択的なペプチドを二量化したペプチドが、2つのサブタイプと相互作用することをさらに検証する目的で、二量体の2つのペプチドをそれぞれ不活性化した新しいアナログを合成した。その結果、fMLPの活性発現因子であるホルミル基を除去したアナログは、もう一方のWKYMVM-NH2ペプチドの機能だけが発現され、二量体ペプチドとの差異が明確に判別された。一方、WKYMVM-NH2のアミド基の除去や、6位をGlyに置換したWKYMVG-OHを持つ二量体では、明確な活性低下が見られなかった。単量体のWKYMVG-OH やWKYMVG-OHは単量体では不活性なため、二量体中では、異なる挙動が示唆された。さらに、二量体ペプチドを投与した際、活性の最大値が単量体アナログを投与した場合と比較して、優位に増加することを調べるため、受容体非作動薬の前投与をおこなった。その結果、FPR1サブタイプ選択的ペプチドでは、非作動薬前投与による著しい活性増強が観察されたが、FPR2サブタイプでは活性増強が観察されなかった。これらの結果から、FPR2サブタイプを介する活性発現に関してはFPR1とは異なる機構が考えられ、2つの受容体選択的アゴニストを共有結合で架橋した二量体の生物活性評価方法の再考が示唆された。FPR2選択的光親和性プローブ含有アナログに関しては、光親和性プローブとしてp-ベンゾイルPheをFPR2アンタゴニストWRWWWW-NH2のN末端に導入することで、親和性を損なうこと無く新規ペプチドを得た。
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Peptide Science 2016
巻: 2016 ページ: 印刷中
PLoS One
巻: 11 ページ: e0162525
10.1371/journal.pone.0162525