研究課題
本研究では、ポルフィリンを用いてガン診断(PET)とガン治療(PDT)を同時に行うことができるセラグノシス薬剤を開発を目指している。本年度は、最適な腫瘍集積性と腫瘍集積時間を有する薬剤開発としてグルコース(Glc)とメルカプトエタノール(mEt)の2つの置換基の置換数を変化させたポルフィリン誘導体((Glc)x(mEt)y)の合成とin vitro評価を行った。比較物質としてGlcが4分子結合したポルフィリン(Glc4)を用いた。合成は、1から3分子のmEt鎖が結合したフッ素ポルフィリン(mEtx)を出発原料に用い、1から3当量のグルコース配糖体(AcGlcSAc)を塩基性条件下で求核置換反応させた後、アセチル基を脱保護することで(Glc)x(mEt)yを60%以上の収率で得た。HeLa細胞株を用いた細胞取り込み試験の結果、Glc4は薬剤接触時間が24時間以降でも取り込み量が増加していた。一方、(Glc)x(mEt)yは薬剤接触8時間以降で取り込み量が飽和した。HeLa細胞株を用いた光毒性試験の結果、薬剤接触8時間の条件では、(Glc)x(mEt)y(EC 50 < 0.2 microM)はGlc4(EC 50 > 1.0 microM)よりも高い殺傷効果を示した。また、2つの置換基の置換数の違いが光細胞毒性効果に大きく影響を与えることも見出した。現在、これらの化合物について亜鉛イオンの導入の最適化(溶媒、反応時間、温度)を行っているところである。
2: おおむね順調に進展している
計画では、1年半で最適な腫瘍集積性と腫瘍集積時間を有するセラグノシス薬剤を開発することになっている。これまでに、候補セラグノシス薬剤の前駆体の合成ができ、また現在亜鉛導入の最適化を行っている。これらの理由により、研究はおおむね順調に進んでいると考えている。
これまでに見出した候補セラグノシス薬剤の前駆体に対し亜鉛導入の最適化を行う。その後、この条件を用いてPET核種である62Znを導入したPET薬剤を合成する。このPET薬剤を用いて担癌マウスを用いた体内動態試験を行い性能を調べ、結果を合成にフィードバックさせる予定である。
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