研究課題
翻訳後修飾を受けたアミノ酸は多くの場合、未修飾の通常アミノ酸に比べ非常に量が少ない。そこで大量に存在する未修飾アミノ酸や夾雑物ピークをあらかじめ分離することで、修飾アミノ酸を精度よく選択的に検出するため、クロマトグラフィーの2次元化を行った。1 次元目にはカーボンカラムによる吸着クロマトグラフィーを用い、アミノ酸を分離・分取し、次に、回収した各フラクションのアミノ酸を蛍光誘導体化した後、2 次元目の逆相クロマトグラフィーで分離し検出することとした。サンプルはHL-60細胞から酸抽出したヒストンを用いた。ヒストンをポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)で分離し、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜に電気的にブロッティングして膜上に転写した。このうちヒストンH3.3およびH4のバンドを切り出して加水分解後、1次元目のクロマトグラフィーにかけてフラクションを分取した。分取したサンプルの一部を蛍光誘導体化試薬である6-アミノキノリル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート(AQC)を用いて蛍光ラベル化し、2次元目の逆相クロマトグラフィーで分離・定量を行った。比較のために、1次元目なしで加水分解後、直接AQCでラベル化し、逆相クロマトグラフィーで分離・定量を行った。その結果、2次元化することで、ヒストンH3.3からは、1次元目なしでは検出されなかったモノメチルリジンが、ヒストンH4からは、モノメチルリジンに加え、非対称ジメチルアルギニン、対称ジメチルアルギニンが検出された。このように、クロマトグラフィーを2次元化することで、1次元では夾雑物などによって検出できなかった翻訳後修飾アミノ酸を検出することに成功した。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
アミノ酸研究
巻: 10 ページ: 67-69
Nature
巻: 534 ページ: 417-420
10.1038/nature17991