研究実績の概要 |
【新規界面活性剤の合成および基礎物性】 抵抗低減効果界面活性剤として、今年度は一鎖型界面活性剤の親水基に着目し、性質の異なる2種類の界面活性剤を新規に合成した。1つはカチオン性界面活性剤で、親水基核Nに結合する官能基をヒドロキシエチル基とメチル基を含むもの(対イオンBr-、主鎖炭素数n=16)、もう1つは両性界面活性剤で、親水基核N-Oに結合する官能基をメチル基・ヒドロキシエチル基のもの(主鎖炭素数n=12,14,16,18)である。合成物について、1H-NMR測定を行ない、それぞれの化合物が合成できたことを確認した。合成した界面活性剤の水溶液物性について、電気伝導度法および表面張力測定法により調査を行ない、臨界ミセル濃度CMC)を決定した。 【新規界面活性剤の溶液物性】 一連の界面活性剤について、カチオン性にはサリチル酸ナトリウム(SalNa)を、両性にはサリチル酸(Sal)を添加剤とし、様々な添加比による混合物の水溶液について、流体粘弾性法である渦抑制度およびはね戻り測定を目視観察により行なった。その結果、ある温度以上において渦抑制・はね戻りを発現すること、その発現の有無において添加剤の適切な添加比が存在することがわかった。特にC16H33-N+(CH3)2(CH2CH2OH)とSalNaの混合物においては、渦抑制・はね戻りの出現温度が2.4℃からと、低温化に成功した。 より低温域での抵抗低減効果発現を目指して、溶媒を水からエチレングリコール(EG)水溶液へと展開し、一連の界面活性剤および添加剤との混合物EG水溶液について、渦抑制・はね戻り測定を目視観察により行なった。その結果、-N+(CH2CH2OH)2-O-基を有する化合物とSalの混合物について、主鎖炭素数が14のものについては-5℃まで、また12のものについては-20℃まで、渦抑制・はね戻りを発現することがわかった。
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