本研究は、高効率触媒反応を利用した非可食性バイオマスから有用なオレフィン系モノマーを高選択的に合成する技術開発を行い、得られるバイオマス由来のオレフィン系モノマーを精密に重合する新規触媒を開拓し、バイオマス度の高い新規バイオベースポリマーを合成する技術の確立を目的としている。 平成28年度は、平成27年度に合成を行った (1) 非可食性バイオマスを原料に用いたバイオマス度の高いバイオベースアクリル樹脂の物性評価および、(2)β位にアルキル基およびアリール基を有する新規なアクリル樹脂の物性評価を行った。 (1) 非可食性バイオマスから合成したバイオマス度の高いバイオベースアクリル樹脂について、TG-DTA、DMAおよびDSCを用いた熱物性の評価を行い、石油由来の原料から合成される従来のアクリル樹脂と同等以上の熱安定性を有することを明らかとした。また、全光線透過率測定およびHAZE測定による光学特性の評価から、石油由来の原料から合成される従来のアクリル樹脂と同等の光学特性を有することを明らかとした。 また、(2)β位に置換基を有する新規なアクリル樹脂についても、TG-DTA、DMAおよびDSCによる熱物性の評価を行ったところ、ガラス転移点がβ位の置換基により大きく変化することを明らかとした。β位に置換基を有する新規なアクリル樹脂において、β位の置換基は、エステル置換基と比べて、ガラス転移点に大きな影響を与える事が示唆された。
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