研究実績の概要 |
今年度はマグネタイト固定化含窒素複素環カルベン(NHC)-金錯体を新規に合成し、これを触媒とし、アセチレン類のヒドロアミネーションに適用し、リサイクル型触媒としての有用性を検証した。 (2,4,6-トリメチルフェニル) イミダゾールと (ヨードプロピル) トリアルコキシシランを DMF 中 90 ℃で 反応させた後、DMF を減圧留去することにより、対応するヨウ化 (2,4,6-トリメチルフェニル) イミダゾリウムが得られた。ヨウ化イミダゾリウムと酸化銀 (I) を、1,2-ジクロロエタン中室温で反応させることにより、対応する NHC を調製し、この反応溶液にクロロ (ジメチルスルフィド) 金 (I) を加え、室温で撹拌させた後、反応溶液を濾過し、1,2-ジクロロエタンを減圧留去することにより、対応する NHC-金錯体を得た。得られた NHC-金錯体とマグネタイトを、エタノール中で加熱還流しながら撹拌することにより、マグネタイト固定化 NHC-金錯体を得た。 得られたマグネタイト固定化 NHC-金錯体を触媒とし、アニリンを用いたアセチレン類のヒドロアミネーション反応を行った。100 ℃で触媒とトリフルオロメタンスルホン酸それぞれ2 mol%用い反応を行ったところ、収率よく対応するイミンが得られた。さらに、触媒の回収・再利用について検討したところ、反応後触媒は磁石に引き寄せられ速やかに回収され、収率が低下することなく10 回程度の触媒の再利用も可能であることが分かり、本マグネタイト固定化 NHC-金錯体のリサイクル型触媒としての有用性が明らかになった。
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