最終年度はマグネタイト固定化炭酸水素イミダゾリウムを新規に合成し、このマグネタイト固定化炭酸水素イミダゾリウムを触媒としてカルボニル化合物のシアノシリル化反応を行った。その結果シアノシリル化反応は円滑に進行し、さらに反応終了後磁石を近づけることにより触媒は引き寄せられ、回収、再利用可能な固定化炭酸水素イミダゾリウム触媒として有用であることを見出した。 t-ブチルイミダゾールと(ヨードウンデシル)トリアルコキシシランより、対応するヨウ化t-ブチルイミダゾリウムを合成した後、水中で炭酸水素カリウムを用いたイオン交換により、マグネタイト固定化炭酸水素イミダゾリウムを合成した。 得られたマグネタイト固定化炭酸水素イミダゾリウムを触媒とし、シアノシリル化反応を行ったところ、アルデヒドとの反応で短時間で付加体が得られることが分かった。良好な触媒活性に基づく磁性触媒の高性能化は、長鎖疎水性リンカーに由来するものと思われる。さらに、触媒の回収・再利用について検討したところ、反応後触媒は磁石に引き寄せられ速やかに回収され、触媒の再利用も可能であることが分かった。 1年目と2年目にはマグネタイト固定化含窒素複素環カルベン(NHC)-金錯体を合成した。 得られたマグネタイト固定化 NHC-金錯体を触媒とし、アニリンを用いアセチレン類のヒドロアミネーション反応を行ったところ、収率よく対応するイミンが得られた。さらに、触媒の回収・再利用について検討したところ、この磁性触媒も回収・再利用が可能であることが分かり、マグネタイト固定化炭酸水素イミダゾリウム同様リサイクル型触媒としての有用性が示された。
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