形状の異なる4種類のWO3粉末(球状: N-WO3、ディスク状: D-WO3、直方体状: C-WO3、六角形状: H-WO3)を合成し、吸着法を用いて銅イオン1 wt%を担持した(Cu-WO3)。これらの粉末を用い、青色LED(波長: 473 nm)を2時間照射して、水中のメチレンブルー(MB)の光触媒分解反応を調査した。その結果、いずれのWO3粉末試料とも光触媒活性を示し、MBを分解することができた。4種の形状を比較すると、未担持WO3では、活性の高い順に、C-、D-、N-、H-WO3となり、一方Cu-WO3では、いずれも未担持WO3より活性が向上し、活性の高い順に、C-、H-、N-、D-WO3となった。最大活性を示した試料はCu担持のC-WO3であり、Cu担持効果が最大であった試料はH-WO3であった。 次に、上記のCu担持のC-WO3に対して、青色LED(波長: 450 nm)照射下でのアセトン(気相)の二酸化炭素(CO2)への分解反応を調査した。焼成温度200、300、400、500℃で作製した試料について、5時間までの光照射時間に比例してCO2が生成したことから、Cu担持によって酸素の多電子還元が促進されて光触媒反応が進行していると考えられた。300℃の試料でCO2の生成速度が最大であった。 さらに、上記の4種のWO3に対して、青色LED(波長: 466 nm)照射下で、ヨウ素酸イオン存在下における酸素の生成量を定量して、水の酸化反応を調査した。助触媒として、光析出法により白金(Pt)を、また含浸法により酸化ルテニウム(RuO2)を担持した。最大活性を示した試料はPt担持のC-WO3であり、次に高い活性を示した試料はRuO2担持のC-WO3であった。
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