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2016 年度 実績報告書

ハイブリッド化による高機能バイオポリマー漆膜の創製

研究課題

研究課題/領域番号 26410214
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

渡邊 宏臣  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 機能化学研究部門, 主任研究員 (30373385)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードウルシオール / 漆 / コーティング / 機械的強度
研究実績の概要

本研究は、天然物である漆と他のナノ材料とを複合化することにより、漆膜が元来有する堅牢性などの優れた特性を強化し、高機能性コーティング材料としての展開を図ることを目的としている。最終年度である本年度は、側鎖を飽和させた水添ウルシオールとの複合化についてさらに研究を推し進めた。実際には、合成条件等の再検討を行うことで、水添ウルシオールの純度を大幅に向上させ、この高純度の化合物を用いて得られたハイブリッド膜について、機械的強度測定などの物性評価を行った。その結果、予想に違わずハイブリッド膜において水添ウルシオール比率の増加は極限引張強度やヤング率の低下をもたらし、ヤング率を例にとると70 mol%においてウルシオール単独と比べて約半分の0.4 GPa程度となった。一方で興味深いことに、それ以上の高比率においては極限引張強度とヤング率の両方が再び上昇に転じていた。例えば、水添ウルシオール単独膜は、ヤング率の場合で実にウルシオール膜の約8割程度まで回復していた。この複雑な挙動は、二つの相反する要素に起因すると思われる。その一つが二重結合の寄与であり、水添ウルシオールの増加は架橋密度の低下を生じ、結果、比率の上昇に伴い機械的強度が単調に低下する。もうひとつが、側鎖構造の均一性の問題である。二重結合の数や位置が多様で混合物として存在するウルシオールと異なり、水添ウルシオールは単一の構造である。そのため高濃度になるに従って側鎖のパッキングと表面への偏析を生じることが、X線光電子分光や表面の濡れ性の評価結果から明らかとなっており、これが高比率での高い機械的強度をもたらしたものと考えられる。今年度得られたこの知見は、本研究の目的とする漆の高機能性コーティング材料としての展開だけでなく、他の天然材料から高機能性コーティング材料を得る際にも有用であるものと考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Biobased Polymer Coating Using Catechol Derivative Urushiol2016

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, Hirohmi Fujimoto, Aya Nishida, Jin Ohishi, Tomoyuki Takahara, Atsushi
    • 雑誌名

      Langmuir

      巻: 32 ページ: 4619, 4623

    • DOI

      10.1021/acs.langmuir.6b00484

    • 査読あり

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公開日: 2018-01-16  

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