研究課題/領域番号 |
26410225
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
田中 学 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (00531831)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノファイバー / エレクトロスピニング / 高分子電解質 / イオン伝導 / リチウムイオン / 電池 |
研究実績の概要 |
研究代表者が提唱してきた有機ナノイオニクスの新たな展開として、高速イオン輸送を可能にするリチウムイオン伝導性高分子ナノファイバーを創製することを目的とする。リチウムイオン伝導性高分子をナノファイバー化することで、従来材料とは異なる内部構造の形成や特異な性状の発現が予想され、通常の高分子電解質膜では実現困難な高リチウムイオン伝導性の達成が期待される。本研究では、ナノファイバーにおけるリチウムイオン輸送メカニズムを明らかにし、リチウムイオン輸送に適した高分子構造・ナノファイバー構造を見い出すことを目指す。さらに、リチウムイオン電池材料やその発展形として今後の実用化が期待されるリチウム空気二次電池材料へも応用展開し、リチウムイオン伝導性ナノファイバーの可能性を提示する。 本年度は、主にリチウムイオン伝導性高分子ナノファイバーを基盤骨格とする複合電解質膜の作製と評価を行った。側鎖にオリゴエチレンオキシド鎖を有する含フッ素ポリイミドとリチウム塩を混合し、エレクトロスピニング法により直径200nm程度の均一なリチウムイオン伝導性ナノファイバーを得た。続いて、電解質マトリクスを用いてナノファイバーの空隙を充填し、ナノファイバー複合電解質膜を得た。イオン伝導度測定の結果、低温度領域においてナノファイバー複合膜は、空隙を多く有するリチウムイオン伝導性ナノファイバー単体、あるいはマトリクス電解質高分子のみからなる膜より高いリチウムイオン伝導性を示した。 また、ナノファイバー単体および複合膜の物性評価として、DSC測定やラマン測定などにより、有機ナノイオニクス現象(有機高分子ナノファイバーの内部および界面などナノ空間における特異なイオニクス挙動)の検証も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、主に二次電池応用を意識したリチウムイオン伝導ナノファイバー複合膜の作製と評価を目的としたが、おおむね順調に進展している。 研究計画の通り、二次電池応用を目指したナノファイバー複合膜の作製と評価を行い、期待された材料物性を得ることができた。また、ナノファイバー単体および複合膜の解析により、バルク材料とは異なるナノファイバー特有の物性(有機ナノイオニクス現象)も明らかにしつつある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も研究計画通り進展しているため、今後も当初の計画通り、以下3点を柱に研究を推進する。 1) リチウムイオン伝導性ナノファイバーの内部構造評価、2) 高速リチウムイオン輸送に向けた設計指針とナノ構造制御、3) リチウムイオン二次電池等のエネルギー変換デバイスへの応用
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