研究課題/領域番号 |
26410241
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
西本 俊介 岡山大学, その他の研究科, 助教 (90435826)
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研究分担者 |
三宅 通博 岡山大学, その他の研究科, 教授 (30143960)
亀島 欣一 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (50251616)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 酸化チタン / 光触媒 |
研究実績の概要 |
酸化チタン光触媒表面の水中における油の濡れ性に対する紫外線照射と超音波照射の影響に関する研究を行った。実験には、セルフクリーニング材料用コーティング手法として一般的に用いられるゾルゲル法により作製された比較的平滑な試料が用いられた。紫外線を試料に照射することで、試料表面を光誘起超親水状態(水接触角が5度以下)にした際の水中での油の濡れ性は、超撥油性(油接触角が150度以上)であった。その後、水中で超音波を試料に照射し、水中での油の濡れ性を測定したところ、油接触角は150度未満へと減少した。また、再び紫外線を照射すると、超撥油性に変化した。紫外線照射と超音波照射とによる、油の濡れ性の変化はリバーシブルであったことから、酸化チタン光触媒表面の水中における油の濡れ性を外部刺激により制御できることが分かった。 高性能油水分離フィルターの開発を目的として、ステンレスメッシュにシリカ・チタニア複合膜がコーティングされたものが作製された。水中における油の濡れ性、酸化チタンによるセルフクリーニング特性、コーティング膜の密着性の評価を行ったところ、油水分離フィルターとして適した特性を有していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究により、酸化チタン光触媒表面の水中における油の濡れ性を紫外線照射と超音波照射とによる外部刺激により制御できることが分かった。このような酸化チタン光触媒表面の濡れ性に関する新知見は、酸化チタン光触媒分野の新規応用技術開拓にとって重要な知見であると考えられる。また、新規高性能油水分離フィルターとして有望なシリカ・チタニア複合膜がコーティングされたフィルターの作製にも成功している。以上のことから、本研究課題は、その研究目的に向かって、概ね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに作製されたシリカ・チタニア複合膜がコーティングされたフィルターの油水分離特性評価を行う。その際には、送水ポンプを使用して、連続通液時の分離性能評価も行う予定である。また、得られた分離性能と試料の諸特性(水中における油の濡れ性、酸化チタンによるセルフクリーニング特性、コーティング膜の密着性)の相関を精査し、分離フィルターの高性能化を図る。また、メッシュ素材としては、ステンレスに加えてチタンメッシュを用いた実験も計画している。 海域へ流出した油の回収などへの分離フィルターの応用を想定し、水中における油の濡れに対する不純物の影響(イオン種、イオン濃度、pH、懸濁物質など)を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は当初計画していたチタンメッシュを用いたフィルター作製ではなく、主に安価でメッシュ目開きサイズバリエーションに豊富なステンレスメッシュを用いて実験を実施した。そのため、主に消耗品費が予定よりも少なくなり次年度使用額が生じた。また、設備購入を計画していたが、購入予定であった設備を用いた実験に至らなかった。そのため、設備備品費が予定よりも少なくなり次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、ステンレスメッシュに加えてチタンメッシュを用いた実験も計画しており、消耗品費として使用する予定である。また、フィルター作製条件が試料の諸特性(水中における油の濡れ性、酸化チタンによるセルフクリーニング特性、コーティング膜の密着性)および油水分離特性に与える影響を精査する実験を行うため、実験に必要な設備備品費として使用する予定である。
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