研究課題
液中プラズマ処理におけるガス導入方法について,二重管構造から中空構造に変更した。これは超鋼材料であるタングステンの内径と外形を1mmと3mmとすること,そして,プラズマ発生条件でパルス周波数を高くすることで達成できた。これにより中空アノード液中プラズマ処理が可能となり,酸化チタンナノ粒子の処理が格段に高効率化そして安定化することに成功した。処理後の試料をESR測定したところ,O2-ピークの出現を確認した。これは酸素欠損にトラップされた電子がO2に移動することで生成したためと考えている。また,XPS測定により中空アノード液中プラズマ処理後の酸化チタンに酸素欠損量の増加が見られた。一般に酸素欠損量が増えることでTi3+が生成するが,このTi3+は酸化チタンのバンドギャップ中に準位を生成し再結合中心として働くため,活性低下の原因として考えられている。しかし,液中プラズマ処理をした酸化チタンは,ESRおよびXPS双方でTi3+のシグナルは観測されなかった。このことから,酸素欠損量を増加しつつTi4+を維持することが,液中プラズマ処理を施した酸化チタンナノ粒子の光触媒活性向上の要因であることが明らかとなった。アセトアルデヒドの二酸化炭素への完全分解において,アクションスペクトルを取得したところ,可視光応答の活性は向上せず,紫外線応答に対する活性が2.6倍向上していることがわかった。このことからも,液中プラズマ処理した酸化チタンは,酸素欠損の導入によって光励起キャリアの再結合を抑制したために,光触媒活性が向上したと言える。また,5カ月以上にわたってアセトアルデヒドの分解活性を継続して調査したが,1割程度の活性低下のみで活性を維持していることが明らかとなった。このことからも液中プラズマ処理後の酸化チタンは特殊構造によって高活性かつ高安定性を示すことが明らかとなった。
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