| 研究課題/領域番号 |
26410248
|
|---|
| 研究機関 | 神奈川大学 |
|---|
研究代表者 |
萩原 健司 神奈川大学, 公私立大学の部局等, その他 (60409951)
|
|---|
| 研究分担者 |
野村 勝裕 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (60357754)
蔭山 博之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (80356758) [辞退]
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
| キーワード | 結晶構造 / 酸化物イオン伝導 / プロトン伝導 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究はZr系パイロクロア組成化合物を系統的に作製し結晶構造解析を行い、得られた結晶構造パラメータを基に酸素空孔の規則－不規則配列の程度を定量化することにより酸化物イオン伝導度との相関を明らかにし、酸化物イオン伝導メカニズムを解明することを目的としている。
2014年度は、2種類のパイロクロア組成化合物－Eu2Zr2O7、La2Zr2O7の燃料電池運転温度における本来の結晶構造を解明するため、Hf含有量が少ないZrO2を用いてこれら化合物を合成し乾燥及び加湿21 %O2-79 %N2雰囲気中、298～1173 Kの温度範囲で粉末XRD測定を行い、リートベルト法を用いて結晶構造の精密化を行った。またEu2Zr2O7、La2Zr2O7の本来の導電特性を詳細に検討するためHf含有量が少ないZrO2を用いて緻密焼結体を調製し種々の酸素分圧及び水素分圧下、全導電率測定を行った。
2015年度は、2014年度に合成したHf含有量が少ないEu2Zr2O7とLa2Zr2O7のZr周りの局所構造パラメータを得るために、高エネルギー加速器研究機構の放射光施設PF-AR(NW-10A)において、100、 200、 300、 500 Kの各温度にてZr-K吸収端のXAFS測定を行った。得られたEXAFS振動および動径構造関数の比較から、La2Zr2O7のZr周りの局所構造の温度変化はSrZrO3に類似しており、一方、Eu2Zr2O7のZr周りの局所構造の温度変化は8 mol%Y2O3ドープ安定化ジルコニア（8YSZ）に類似していることが分かった。またEu2Zr2O7は低温でも動径構造関数の４ Å以上の領域で長距離秩序が見られず、温度上昇による局所構造の変化が小さいことから、Zr周りには8YSZに類似した大きなStatic disorderがあることが示唆された。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、結晶構造をより詳細に解明するため、Hf含有量が少ないZrO2を用いて化合物を合成することを試みている。2014年度は緻密な焼結体（相対密度95 %以上）を再現性良く得ることが難しかったが、ZrO2原料試薬を0.1 μm程度に粉砕することで緻密な焼結体を再現性良く合成することが可能となった。現在、Nd2Zr2O7の合成を試みているが再現性良く単一相として合成できないため、本焼成の条件（焼成温度、高温保持時間等）を変えながら実験を進めている。
|
| 今後の研究の推進方策 |
目的とする試料を合成した後、XRD、全導電率測定、XAFS等によるキャラクタリゼーションについては研究計画通り、実施する予定である。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
計画より合成が遅れ、原料試薬の一部を購入しなかったため。
|
| 次年度使用額の使用計画 |
原料試薬等の物品費に使用する予定である。
|
