研究課題/領域番号 |
26420001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々木 克彦 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90215715)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バルーン拡張ステント / 変形解析 / 流体解析 / 連成解析 / 塑性変形 / 有限要素解析 |
研究実績の概要 |
平成27年度は平成26年度から行っている「脈動のステント径および血管内壁界面への影響の解明」をより発展させた研究を実施した。すなわち、「脈動と血管変形の相互関係を明らかにするための流体と構造体の連成解析手法およびこれを検証するための実験手法の確立」および「血管へのダメージの少ないステント形状の考案」について行った。以下にこれらの概要を示す。 1.脈動流による血管変形シミュレーション:脈動と血管変形の相互関係を解明するための解析を流体と構造体の連成解析により行った。すなわち、モデル化した血管の両端に実際の脈動を再現する血流を与え、これに伴う血管の変形について検討した。解析はANSYS構造解析およびfluentを用いて行った。これにより、血流による血管の変形および変形に伴う血流の変化を明らかにした。ただし、ステントを留置した血管を用いた連成解析では、ステントと血管壁との接触に関する解決すべき問題も明らかになり、これは次年度の課題とした。 2.人工血管を用いた脈動流実験:人工血管に脈動流を与えたときの人工血管の変形を測定するための実験装置を試作し、これにより実験を行った。与えた脈動流は上記1で行った解析と同じ流量、差圧で行った。これにより、脈動流による血管の変形を実験的に明らかにし、上記1の解析の妥当性の検証に用いた。 3.血管へのダメージの少ないステント形状の考案:本研究の最終目標である血管へのダメージの少ないステント形状についての検討を行った。すなわち、血管内に発生した血管円周方向に対して非一様なプラークを考慮するために、扁平化したステントを考案し解析した。その結果、扁平化したステントが非一様プラークに対して効果的であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・困難が予想された脈動流と血管変形の連成解析を滞りなく実行することができた。また、ステント留置後の血管と脈動流との連成解析の際の問題点を明確にすることができ、この場合も解析が可能であることを明確にできた。 ・脈動流と血管変形の模擬実験を行うための人口血管を用いた実験システムを完成できた。 ・血管へのダメージの少ないステント形状の最適設計の前段階として、扁平化したステントと非一様プラークモデルを用いた解析を行いその効果を明確にできた。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で、本研究課題に対して大きな障害となる問題は発生していない。このことから、当初予定通り研究を遂行する。
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