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2015 年度 実施状況報告書

電磁波遮へい・吸収性を有する植物由来炭素粉体を配合したプラスチック複合材料の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26420006
研究機関山形大学

研究代表者

飯塚 博  山形大学, 理工学研究科, 教授 (90142215)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード電磁波吸収特性 / 多孔質炭素粉体 / プラスチック複合材料 / 抄紙法 / 加圧成形
研究実績の概要

ハニカム構造やヘリカル構造等の多孔質構造を持つ植物由来炭素粉体を配合したシート材を、ポリエチレン繊維を用いた抄紙法とペレット作製後加圧成形する手法の,2種類の製造法で作製した.そして,導電特性,電界の電磁波吸収特性および誘電特性を測定し,プラスチック系複合材料の電磁波吸収用素材としての有用性を検討した.また,伝送線路理論等を用いた電磁波吸収体の理論設計法のもと,粉体配合率や試料厚さと電磁波吸収特性の関係についても検討した.得られた結果の要約を以下に示す.
(1)作製した2種類のシート材で高い電磁波吸収特性を示し,実用可能であることを確認した.実測値としては厚さ約2mmで粉体配合率40wt.%の試料で,約35dBという高い電磁波吸収量を得た.
(2)電磁波吸収体の理論設計法に基づき,最適な配合量および試料厚さの算出ができる手順を確立した。その手順に基づき,電磁波吸収体の実用可能目安である20dB以上の吸収特性を示すシート材を作製することができた.
(3)ヘリカル構造を持つ植物由来多孔質焼成粉体は導電性が高く,少ない配合量で高い電磁波吸収特性が得られ,本研究で検討した植物由来素材の中で最も優れた特性を示した.
(4)製造方法の異なる2種類のシート材で電磁波吸収特性に差が生じることが示された.この差は,主に植物由来炭素粉体間の接触性に起因した導電特性の差による影響と考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

電磁波吸収シート材の製造方法については,実機を用いた射出成形試料の発注まで至ったことから,今後計画通りの実験が遂行できると考えている。また,射出成形法で作製した試料における粉体の分散率についても評価手法はすでに確立されており,発注試料納入後に速やかに評価を行うことが可能である.
事前に実施している加圧成形法で作製した試料の電磁波吸収性は20dBを大きく上回ることが確認できており,また,その測定法についても兵庫県立大学教員と本学電気電子工学科教員らとの連携が取れており,複数の測定法で評価する信頼性の高い評価体制が整っている.
さらに,伝送線路理論等を用いた電磁波吸収体設計法についても,兵庫県立大学教員に指導頂いて確立しており,最適な試料厚さ等の吸収体設計とその製造が可能な状態になっている.

今後の研究の推進方策

研究は順調に進展しており,研究計画に大きな変更はない.また,今年度はヘリカル構造を持つ多孔質構造の植物系粉体の優秀性が確認できた.現在すでに市販されているヘリカル構造体としてCMC (Carbon Micro Coil) を10wt.%配合した電磁波吸収体製品を購入して,本研究で開発作製した試料の特性と比較した.その結果,CMCの方がより少量の配合量で高い電磁波吸収性が得られたが,両性能に大差ないことが確認された.植物由来素材の方が圧倒的に安価であることから,植物由来のヘリカル構造を持つ素材は電磁波吸収体用素材として将来性があると判断している.
以上のことから,当初の計画どおりに試料作製・組織観察・電磁波吸収特性等の測定を実施していくことに変更はない.

次年度使用額が生じた理由

本年度発注を計画していた電磁波吸収特性測定治具(Sパラメータ法にて使用)が,研究協力者の好意で提供頂いた.また,射出成形法にて試料を作製するための部品製作を予定していたが,企業に測定用シート材作製を発注したほうが安価になったことから,予算執行が計画と異なった.

次年度使用額の使用計画

射出成形にて作製するシート材が1試料当たり8万円程度となるため,最終年度に作製委託する試料の購入費が膨らむ予定である.これらの変更があっても全体的な研究計画に支障はなく,目的達成に向けた研究を展開できる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 電磁波吸収体の製造方法と吸収特性の関係2016

    • 著者名/発表者名
      大宮一寿,兼岩敏彦,山本真一郎,飯塚博
    • 学会等名
      平成28年電気学会全国大会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2016-03-18
  • [学会発表] 電磁波吸収特性への植物由来多孔質構造の影響2016

    • 著者名/発表者名
      羽賀大真,兼岩敏彦,山本真一郎,飯塚博
    • 学会等名
      平成28年電気学会全国大会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2016-03-18
  • [学会発表] 農業系副産物を用いた電磁波吸収体の開発2016

    • 著者名/発表者名
      吉田隆幸,兼岩敏彦,山本真一郎,飯塚博
    • 学会等名
      電子情報通信学会(環境電磁工学研究会)
    • 発表場所
      機械振興会館(東京港区)
    • 年月日
      2016-03-11

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公開日: 2017-01-06  

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