研究課題/領域番号 |
26420012
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
西田 政弘 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60282828)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 材料力学 / 衝撃強度 / 超高速 |
研究実績の概要 |
三年間の科研費(c)の2年目である平成27年度には,二段式軽ガスガンを用いて加速させたアルミニウム合金球(直径1mm)を炭素繊維強化複合材料(CFRP)板に垂直衝突させ,超高速衝突時のイジェクタを詳しく調べた.交付申請書に記載した「研究実施計画」に従い,2種類のCFRP板(150 mm×100 mm)をターゲットとして用いた.実験方法は,ISO規格(11227:2012)に準拠したアルミニウム合金球(A2017)を用いて実験を行った. これまで,イジェクタの評価方法は,実験チェンバーから回収したイジェクタを一個一個撮影し,画像処理することにより調べていたが,大きなサイズでは有効であるものの,非常に小さいイジェクタの測定は難しく,小さいイジェクタも精度が低いと考えられる.そこで,ISO規格(11227:2012)に準拠し,ターゲット前後に検証板を設置し,衝突痕からイジェクタの量を推定することを試みた.しかし,ISO規格に基づいたイジェクタの評価法は,未だ明確に確立されていないため,精度よく,衝突痕を判別するために,飛翔体へのライティング,画像処理方法の改良を行った.宇宙環境を模擬した劣化試験では,ガンマ線照射施設(名古屋大学コバルト60γ線照射室)に比べて,安定的に照射することができる,高崎量子応用研究所で行うことにした.さらに,これまでの実験では,周囲の空気の影響により,CFRPの酸化劣化が結果に大きな影響を与えることが分かった.そこで,真空環境で実験できるように,真空のガラスアンビルを用いて,CFRPを封入した実験も行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
想定したような劣化を得るために,予想以上に時間がかかってしまった.宇宙環境を模擬した劣化試験を一部追加で実験することになり,劣化試験の遂行が少し遅れているが,準備や必要な手順などが良くわかり,ほぼ計画通り遂行している.引張試験は現在データを増やしており,急ぎ,損傷設計のための指針を得るつもりである.
|
今後の研究の推進方策 |
最後の年に当たる平成28年度も,昨年に引き続き,超高速飛翔体衝突を受けた劣化CFRP板に,引張試験およびサイクル試験を行い,強度低下を明らかにし,余寿命評価の指針および信頼性向上のための基礎データを得る.劣化していないCFRP板の結果と比較する.これまでの結果を元に,CFRPを1種類に絞りこみ,2種の劣化条件を選ぶ.サイクル試験中は,デジタルカメラおよび赤外線カメラを用いて観察する.サイクルによる劣化曲線を作成し,余寿命予測について考察する. さらに,ドリル穴を空けた劣化CFRP板に熱サイクル試験を行い,強度の低下度合を確認する.超高速飛翔体衝突を受けた劣化CFRP板に,熱サイクル試験を行った結果と比較し,超高速衝突による貫通穴と等価なドリル穴を調べ,損傷許容設計のための指針を得る.
|