粥状動脈硬化斑の存在する胸大動脈の標本について,マイクロCTによる石灰化領域の同定,動脈壁内部の染色画像観察,画像相関法による内皮面のひずみ解析を行った結果,表面近傍の線維性被膜が石灰化すると,動脈壁伸展時に内皮面のひずみが局所的にほぼ零となった.頸動脈内膜を厚さ50ミクロンに薄切して作製した線維性被膜と脂質コアからなる試験片では,正常な場合の伸展挙動と異なり,小さなひずみで損傷が容易に発生した.有限要素解析より,プラーク内出血を伴う破裂が起こると脂質コアの圧力が血圧に等しくなり,線維性被膜の形状を変化させると言える.拡張したバルーンが硬いものに当たると,バルーンの非接触領域が拡張した.
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