研究課題/領域番号 |
26420025
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
米津 明生 中央大学, 理工学部, 准教授 (40398566)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 材料強度 / 塑性ひずみ / 残留応力 / 有限要素法 / インデンテーション法 / 国際情報交換(アメリカ) |
研究実績の概要 |
本研究では,インデンテーション法(微小押込み試験)を用いて残留応力と塑性特性を同時に計測できる方法を開発する.この方法は,パラメトリック有限要素解析結果を整理した無次元関数に,押込み試験の結果を代入することで,容易に残留応力と塑性特性の二つの材料特性を推定できる特徴を有する.さらに,材料特性が内部(深さ)方向に勾配をもつケースへの展開も試みることで,ピーニング処理や溶接材,各種コーティング材料などの様々な材料の評価研究への応用が期待できる. 今年度は,オーステナイト系ステンレス鋼(SUS316L)へ適用できる評価法を構築した.はじめに,有限要素法(FEM)を用いて,塑性ひずみ量と残留応力値を変化させた次元解析法を確立した.ここで,次元解析の簡素化を図る目的で,塑性ひずみが付与されると,SUS316L母材の真応力―真ひずみ曲線において,その塑性ひずみ量分加工硬化する(塑性ひずみ量分シフトする)という条件を設けた.そのため,塑性特性は塑性ひずみ量のみで記述できるため,塑性ひずみ量と残留応力と合わせた2つの値を推定すれば良いことになる.このような材料を想定して,有限要素法を用いて押込み試験をシミュレーションする.得られた押込み曲線のパラメータ(ここでは,負荷過程と除荷過程の独立した二つ)と,材料の塑性ひずみ量および残留応力のそれぞれに関連づけた次元解析を行うことで,押込み実験結果から一意的に推定できる方法を構築した.そして,SUS316Lの納入材,塑性ひずみ材,ショットピーニング材に適用して,本手法の有効性を検証した.ただし,この手法は対象材料が限定されていること,また残留応力が等二軸状態のケースのみ適用できるという条件を設定しており,これらは次年度に継続して検討することとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述したとおり,今年度は,オーステナイト系ステンレス鋼(SUS316L)へ適用できる評価法を構築した.はじめに,有限要素法(FEM)を用いて,塑性ひずみ量と残留応力値を変化させた次元解析法を確立した.ここで,次元解析の簡素化を図る目的で,塑性ひずみが付与されると,SUS316L母材の真応力―真ひずみ曲線において,その塑性ひずみ量分加工硬化する(塑性ひずみ量分シフトする)という条件を設けた.そのため,塑性特性は塑性ひずみ量のみで記述できるため,塑性ひずみ量と残留応力と合わせた2つの値を推定すれば良いことになる.このような材料を想定して,有限要素法を用いて押込み試験をシミュレーションする.得られた押込み曲線のパラメータ(ここでは,負荷過程と除荷過程の独立した二つ)と,材料の塑性ひずみ量および残留応力のそれぞれに関連づけた次元解析を行うことで,押込み実験結果から一意的に推定できる方法を構築した.そして,SUS316Lの納入材,塑性ひずみ材,ショットピーニング材に適用して,本手法の有効性を検証した.以上の成果は,国際学術雑誌Journal of Materials Engineering and Performance (American Society for Metals)に査読を経て,掲載されている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度に構築した手法は対象材料が限定されていること,また残留応力が等二軸状態のケースのみ適用できるという条件を設定しており,これらは次年度に継続して検討することとした.(1)単軸状態の残留応力のケース,(2)ステンレス鋼のみならず,様々な材料に適用できる手法の開発 というように切り分けて,研究を遂行する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は実施計画どおりに研究を遂行したが,購入品の一部がわずかながら安く購入できた.その分が227円であり,次年度に使用する予定である.
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次年度使用額の使用計画 |
物品費(消耗品)購入の一部として使用予定
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