研究課題/領域番号 |
26420028
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
坂根 政男 立命館大学, 理工学部, 教授 (20111130)
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研究分担者 |
伊藤 隆基 立命館大学, 理工学部, 教授 (40242581)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多軸 / 高温 / 低サイクル疲労 / 単結晶 / 超合金 |
研究実績の概要 |
1.引張・圧縮―繰返しねじり多軸低サイクル疲労寿命を支配する因子としてひずみ振幅と応力振幅とが考えられるが,それらがどのように関与しているのかを検討した.ミーゼス型相当ひずみ振幅が一定の下では,異方性を有する一方向凝固超合金と単結晶超合金の同相当応力振幅は大きく主ひずみ比に依存していた.しかし,多結晶超合金では同相当応力振幅は主ひずみ比に対してほぼ一定であった.これらのミーゼス型の相当応力振幅の主ひずみ非依存性と多軸低サイクル疲労の主ひずみ非依存性とは良く対応していた.このことは,単結晶超合金のひずみ基準の寿命評価パラメーターを開発の際には,応力振幅の主ひずみ比依存性を考慮する必要があることを示しており,単結晶超合金の多軸低サイクル疲労寿命評価法の基本方針の一つを明らかにすることができた.
2.YH-61単結晶超合金を用いて,900℃において引張・圧縮―繰返しねじりの高温低サイクル疲労の中断試験を実施し,き裂発生方位の特定とき裂進展寿命を求めた.試験片軸方向の方位が,<001>と<011>について実施した.両方位についての結果は得られたが,中断試験での破損寿命と非中断材による破損寿命との間に大きな差があり,今後,この差の要因を検討する必要があることが明らかになった.
3.十字型試験片用多軸低サイクル疲労用の試験装置の制御に不具合が生じ,その対策と調整に時間を要した.制御プログラムと油圧系統の調整を行った.今後,予備試験を実施し,試験装置の動作性を確認した上で,単結晶超合金の試験を実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.多結晶超合金の中空円筒試験片を用いた中断試験では,非中断試験に比べて寿命が著しく低下した.この要因として,①中断試験によって単結晶超合金の低サイクル疲労寿命が大きく低下する.とくに,中断試験では数回温度を高温から常温に戻すことになることから,それが低サイクル疲労寿命に影響した可能性がある.②試験技術に問題があり,中断試験後の再負荷時に過大な荷重が負荷された可能性がある.これらの2点についての解明が必要であるため,研究の進行にやや遅れが生じた.
2.十字型試験片用の多軸低サイクル疲労試験装置の動作に不良があり,原因究明を行った.プログラムの一部に問題があることおよび試験装置の油圧アクチュエーターおよび配管の一部にも問題点が見つかった.これらの試験装置の不具合から,十字型試験片を用いた試験にやや遅れが生じた.
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今後の研究の推進方策 |
1.中空円筒試験片を用いた中断試験での低寿命問題については,今後,原因究明を進めるが,上述した①の原因の場合には,中実円筒試験片を用いて中断試験を実施する方向も検討する. 2.十字型試験片用の試験装置は動作確認の予備試験が実施できる段階にあり,次年度は単結晶超合金の十字型試験装置を用いて試験を実施できる状況にある.
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次年度使用額が生じた理由 |
円筒中空試験片および十字型試験片を用いた試験が当初計画よりも遅れたために,それらの試験用に準備していた予算の一部が不必要になり次年度に繰り越した.
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次年度使用額の使用計画 |
前年度実施できなかった,中空円筒試験片および十字型試験片の試験片加工費の一部にあてる予定である.
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