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2015 年度 実施状況報告書

超音波長距離伝送体を用いた高温・高放射能構造物の非破壊検査システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26420032
研究機関福岡工業大学

研究代表者

村山 理一  福岡工業大学, 工学部, 教授 (20330946)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード高温構造物 / 非破壊検査 / 超音波 / ガイド波 / 音響伝送体 / ラム波 / 電磁超音波センサ
研究実績の概要

申請研究は、常温・非放射線下に超音波センサや駆動装置を常設することで、高温構造物や高放射線を発する構造物のオンラインモニタリングを実現するための検査システムを開発することを目的としている。そこで100m以上遠方から構造物に超音波の基本モードである縦波・横波及び表面波を長距離伝送体と音響ホーンを用いて送受信することで、高温あるいは高放射線を発する構造物の厚さや構造物中の傷、表面傷を非破壊的に測定・検査する技術を開発する。現有する技術を実用化する場合、大きく3つの課題が存在し、それぞれを明らかにすることを目的としている。
1点目は超音波伝送距離で、運転室と非検査構造物間の距離は数百m程に及ぶ可能性がある。本申請ではセンサ部の基本構造(電磁誘導コイル下をNiメッキ層を形成)、駆動条件、音響伝送体形状・寸法(断面形状を棒状から長方形状)を見直すことで伝送距離を100mまで延長することが可能であることを明らかにした。
2点目は構造物の安全性を保証する為に必要な超音波モードは垂直縦波、表面波、斜角横波、ガイド波である。各々の超音波モードを送受信するために必要な音響伝送体と構造物との間の変換治具(音響ホーン)を開発し、特にパイプ用の構造について新たな提案を行うことができた。
3点目は実際に長距離伝送体を構造物近傍で施工する場合、湿度や雰囲気温度等の周囲条件、湾曲化等の施工条件が様々に組み合わさるため、各条件の影響を定量的に評価し、超音波長距離伝送体の施工条件を明らかにすることで、この点についてH28年度にかけて継続検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請研究の目的の1つが100m以上の超音波伝送距離をかのうにすることであった。この点については、センサのパワーアップ(電磁誘導コイル下の超音波伝送体の表面にニッケルメッキを施すことで、超音波伝送体として用いている鋼単体よりも、より大きな磁歪振動を得ることができた。結果として超音波信号強度を2倍以上にできた。)、伝送体形状の最適化(壁面形状には丸形状、パイプ形状には長方形断面)により可能であることを確認した。
2点目は構造物に垂直縦波、表面波、斜角横波、ガイド波を入射、受信することであったが、対象超音波モードと対象物毎の音響ホーンを考案・試作し目的を達成できることを明らかにしている。具体的には壁面形状の場合には同心円状ホーン形状、パイプに対しては音響伝送体(パイプ中に発生するガイド波の種類により、長方形形状とT字形状を使い分ける)をパイプ周方向に直接、巻きつける構造となる。
3点目のきず検査能力については、現在確認中であるが、少なくとも5mm径以上のドリル穴、0.5mm深さ以上のノッチを検出できることを確認している。

今後の研究の推進方策

当初、本研究の目的は原子炉容器等のひび割れ等のきずの検出であったが、実用化の見込み等を考慮し、高温配管を第一の対象とする方が良いと判断している。そこでパイプのモニタリング検査として有望視されているパイプ中を伝搬する超音波の一種であるガイド波を送受信するシステムに申請システムを拡大・改善していくことを検討している。

次年度使用額が生じた理由

導入予定であった電磁場解析ソフトの購入について、価格と性能で釣り合うものが無く、購入を断念した。また導入の目的であった、長距離まで伝搬できる最適な電磁超音波センサの基本仕様が、実験的に絞り込めたので電磁場解析ソフト購入の必然性が薄れたのも一因である。

次年度使用額の使用計画

受信信号のノイズの低減、解析能力の向上が必要と判断しているのでセンサにリンクして使用するレシーバー部分(増幅器及び解析装置)の増強に使用する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Pipe Inspection System by Guide Wave Using a Long Distance Waveguide2015

    • 著者名/発表者名
      Riichi Murayama, Kenshi Matsumoto, Kenji Ushitani, Makiko Kobayashi
    • 雑誌名

      Modern mechanical Engineering

      巻: 5 ページ: 139-149

    • DOI

      10.4236/mme.2015.54014

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 電磁超音波センサと長距離導波体を用いた高温構造物の非破壊検査2015

    • 著者名/発表者名
      村山理一
    • 雑誌名

      検査技術

      巻: 20 ページ: 13-21

  • [雑誌論文] 横波電磁超音波探触子を利用したパイプ-ガイド波検査システム2015

    • 著者名/発表者名
      村山理一
    • 雑誌名

      超音波TECNO

      巻: 27 ページ: 33-39

  • [学会発表] 周方向伝搬ガイド波を使ったパイプ検査システムの開発2016

    • 著者名/発表者名
      タンティサワッドウィワット、村山理一當間勝巳、小辻泰誠、吉次智成
    • 学会等名
      第23回 超音波による非破壊評価シンポジウム
    • 発表場所
      非破壊検査協会亀戸センター
    • 年月日
      2016-01-28 – 2016-01-29
  • [学会発表] 音響伝送体を用いたパイプ中を伝播するガイド波送受信方法についての基2015

    • 著者名/発表者名
      村山理一、松本賢士
    • 学会等名
      平成27年度 非破壊検査協会秋季講演大会
    • 発表場所
      北海道立道民活動センター
    • 年月日
      2015-10-15 – 2015-10-16
  • [学会発表] 周方向伝播ガイド波を使ったパイプの残肉測定装置の開発2015

    • 著者名/発表者名
      タンテイサワッド ウイワット、村山理一、當間勝己、小辻泰成、吉次智成
    • 学会等名
      日本機械学会2015年度年会
    • 発表場所
      北海道大学工学部
    • 年月日
      2015-09-13 – 2015-09-16
  • [学会発表] A Pipe Inspection System by a Guidewave Using a Long Distance Waveguide,2015 Review of2015

    • 著者名/発表者名
      Riichi Murayama, Kenshi Matsymoto, and Kenji Ushitani
    • 学会等名
      Review of Progress in Quantitive Nondestructive Evaluation
    • 発表場所
      Hyatt Regency Minneapolis
    • 年月日
      2015-07-26 – 2015-07-31
    • 国際学会
  • [学会発表] 電磁超音波センサを使ったパイプ中を伝わるガイド波の送受信システム2015

    • 著者名/発表者名
      村山理一
    • 学会等名
      日本非破壊検査協会九州支部研究発表会
    • 発表場所
      九州機械工業振興会
    • 年月日
      2015-04-17 – 2015-04-17

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公開日: 2017-01-06  

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