研究課題/領域番号 |
26420036
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
田淵 正明 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性評価ユニット, グループリーダー (60354239)
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研究分担者 |
本郷 宏通 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料情報ステーション, 主幹エンジニア (40354237)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 材料力学 / 破壊力学 / 損傷力学 / 高温材料 / クリープ / 高効率火力発電 |
研究実績の概要 |
CO2排出量の削減のために火力発電プラントの高効率化が進められている。USCおよびA-USC火力発電プラントで長期間使用される高Cr耐熱鋼とNi基合金およびそれらの溶接構造体の安全性・信頼性の向上は重要な研究課題である。耐熱材料と溶接構造体の高温破壊特性を明らかにし、損傷・破壊過程と寿命を予測するための計算解析コードを開発することを目的とし、以下の研究を実施した。 (1)USCプラント用の高Cr耐熱鋼(Gr.91鋼、Gr.122鋼)については、母材および溶接継手の長時間のクリープ試験を実施するとともに、高温き裂進展試験データの取得と解析を行った。A-USC用のNi基合金(Alloy 617)および高B-9Cr鋼については、CT試験片と環状切欠試験片を作成し、高温き裂成長試験に着手した。また、A-USC用異材溶接継手については、試験片の作成を行った。 (2)上記の高Cr耐熱鋼と溶接熱影響部(HAZ)再現材、Ni基合金について、計算解析に必要なクリープひずみデータの取得を行っている。得られたクリープデータについて、1次、2次、3次クリープを考慮したクリープ構成式を構築した。これらの構成式を用いてCT試験片のクリープ変形解析を行い、実験結果と比較して構成式の妥当性を検証した。 (3)高温破壊解析を行う計算コードを改良し、高Cr耐熱鋼溶接部の破壊力学パラメータ値に及ぼすサイドグルーブやHAZ幅、溶接金属の影響について3次元解析を行い、変形拘束の影響を明らかにした。また、3次元のクリープき裂成長シミュレーションに着手し、き裂成長のクライテリアと多軸応力の影響について検討を行っている。 (4)多軸応力下でのクリープボイドの発生について計算解析を実施するため、計算コードの改良を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計算解析の基本となるUSC、A-USCプラント用耐熱材料のクリープひずみデータの取得は順調に進んでいる。また、耐熱材料と溶接部のクリープき裂成長試験も計画通り実施中である。多軸応力下での高温損傷、破壊を解析するための3次元計算コードの開発、改良も予定通り進んでおり、検証計算を行い妥当な計算結果も得られている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き以下の実験と計算解析を行っていく計画である。 (1)前年度に引き続き、USC、A-USCプラント用耐熱材料のクリープひずみ特性を取得し、計算解析の基本となるクリープ構成式の構築、改良を行う。 (2)前年度に引き続き、USC、A-USCプラント用耐熱材料と溶接継手について、高温き裂進展試験を実施し、高温破壊特性を明らかにする。 (3)(1)で取得したデータを用いて、損傷力学解析、破壊力学解析を実施し、耐熱材料と溶接継手の高温損傷・破壊のクライテリアに及ぼす材料特性(延性、粒界強度)と多軸応力場の影響を明らかにする。 (4)実験結果と計算結果を比較しながら、USC、A-USCプラント用耐熱材料と溶接継手の高温損傷・破壊のシミュレーションを行う計算コードの開発、改良を進める。
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