本研究は、作業者が工作機械やCAMソフトウェア等のツールの複雑な操作を意識することなく、目的の機械加工を容易に実行できるように、作業者、工作機械、ソフトウェアの間を取り持つインタフェイス機能を開発することを目的としている。最終年度となる平成28年度は、前年度までに開発した5軸制御加工用CAMソフトウェアのための入力用インタフェイスや、高度な制御を必要としない旋盤による加工などを対象にしたインタフェイスの完成度の向上に努めると同時に、その成果を積極的に国内の学会や国際会議で公表した。 5軸制御加工を対象としたインタフェイス機能については、前年度までに開発したCAM ソフトウェアの入力インタフェイスに過切削を防止する機能を追加した結果、市販のCAMソフトウェアでは現在でも作成することが難しいオーバーハング部分の荒加工を対象とした工具経路も、直感的かつ最小限の入力で適切な加工データを生成することが可能となった。荒加工から仕上げまでの一貫した工程に対する機能を開発したことによって、作業設計の省力化に大きく寄与できると考えている。また、出力する切削力の精度向上にも取り組んだ結果、力覚呈示装置を利用して加工時に工具にかかる切削力を体験できるシステムも提案することができた。 一方、初年度から開始した旋盤加工用のインタフェイスについても、オーバーハング部を持つ内径加工など現行のCAMソフトウェアやCNC旋盤に付属している対話式プログラミングシステムでは対応できないような複雑な旋削に対応する機能に対して、工具のパラメータ等の情報を入力するインタフェイスなどの利用技術を重視した改良について検討し、複数の特殊工具を併用した加工が可能になるなど、対応できる加工を大幅に拡充することができた。
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