チタンの切削加工には切削点の冷却および潤滑のために大量のクーラントを使用する必要があり,環境負荷や生産コストの増大が問題となっている.本研究では切削加工を窒素ガスなどの還元雰囲気中で行うことによる摩耗低減効果の原因を明らかにするために実験的な検討を行った.工具被削材熱電対に寄る解析結果から,炭素鋼のドライおよび窒素雰囲気切削における切削工具と被削材料との界面温度に差異はなく,その一方で切りくず新生面側の酸化膜圧が30nm以下に抑制されることが明らかとなった.以上より,切削雰囲気制御による摩耗抑制効果は,熱的な要因ではなく,切削加工中の化学反応抑制が要因であることが明らかになった.
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