研究課題/領域番号 |
26420048
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
安部 洋平 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60402658)
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研究分担者 |
森 謙一郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80127167)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヘミング / 圧壊メカニズム / 中空部材 / めっき鋼板 / 3段ヘミング加工 |
研究実績の概要 |
自動車の衝突安全性を向上させるために車体部材は超高張力鋼板(超ハイテン)が使われ,それらは抵抗スポット溶接により接合されているが溶接部の強度が高くないことがある.本研究では,プレス機を利用した超ハイテンのヘミングにより線状に接合して強度を増加させた自動車用衝撃部材を開発する.超ハイテンのプレスヘミング性を明確にして,圧縮付加ヘミングを適用して限界の向上させる.ヘミングされた部材の衝撃圧縮破壊メカニズムを解明するとともに,接合形状の曲面化により衝撃吸収性を向上させて超ハイテン衝撃部材用次世代ヘミング技術を確立する.
H26年度には,超ハイテンのプレスヘミングの確立を目指して超ハイテンのプレスヘミング性の評価と圧縮付加ヘミングによる加工限界の向上が実施された.圧縮付加ヘミングにより一部の超ハイテンのヘミングが可能であり,中空部材の圧壊強度は溶接されたものよりも高くなる場合があった.
H27年度では,ヘミングされた部材の衝撃圧縮破壊メカニズムの解明,接合形状曲面化による衝撃吸収性の向上を試みる予定であった.ヘミングされた中空部材の圧壊メカニズムの解明はプレス機により行われた.ヘミングされた中空部材はヘミング部で抜けて中空部材が座屈してしまう.最大荷重は溶接されたものよりも高くなることがあったが,ヘミング部に接着剤,凹凸加工などを付加することで高めた.衝撃吸収性は座屈となる溶接された中空部材の方が高くなることが多い.ヘミングされた中空部材は高い最大荷重を利用して破壊させない部分に適応することが望ましい.また,耐食性が求められるとめっきされた超ハイテンが使用されるが,それらの延性は低いので圧縮付加ヘミングによる接合は難しかった.そこで,ヘミング中の曲げ部の変形集中を防止した3段ヘミングを開発して980MPa級めっき鋼板および1180MPa級鋼板を接合した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ヘミングされた中空部材の圧壊メカニズムの解明を調査すると,ヘミングされた中空部材はヘミング部で抜けて中空部材が座屈してしまい,最大荷重は溶接されたものよりも高くなることがあったが,確実に増加させるためにヘミング部に接着剤,凹凸加工などを付加する方法を開発したので遅れた.また,めっきされた超ハイテン,または,超ハイテンによって延性が低くなることがあり,ヘミング性を高める必要に迫られた.ヘミング性を高めた3段ヘミングを開発したためにさらに遅れた.
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今後の研究の推進方策 |
H27年の予定の接合形状曲面化による衝撃吸収性の向上,H28年の予定の接合形状曲面化による衝撃吸収性の向上であるが,衝撃吸収性の向上というよりはヘミングされた中空部材は高い最大荷重を利用して破壊させない部分に適応することが望ましいようである.ヘミングする板材は概ね980MPa級めっき鋼板および1180MPa級鋼板までできるようになった.中空部材側はホットプレスで成形された1.5GPa級鋼板を使うことができるためにさらに最大荷重を高めることができる可能性がある.1.5GPa級鋼板もめっき鋼板であることから,めっき鋼板の接合コストが高くなる抵抗スポット溶接に比べるとヘミングによる接合は有効である可能性が高い.また,高い荷重は軸方向だけでなく曲げ方向にも有効な可能性がありバンパーのような部材に使える可能性が浮上してきた.以上を踏まえてH27年に得られたメカニズムと強度の結果より,これらに対して検討を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
金型設計の遅れ.
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次年度使用額の使用計画 |
設計でき次第順次使用する.
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