1.超耐熱合金切削時におけるコーティング膜損傷軽減に与えるコーティング成膜条件の検討 固溶強化型のインコネル625の切削に対して、開発したコーティング工具を適用して、工具形状の関係で境界部位の損傷は大きくなったが(工具形状の最適化で対応可能)、クレータ摩耗部位等のコーティングの損傷は非常に軽微であることを確認したが、そのコーティング膜の損傷状態を確認した。結果、インコネル718と同様のコーティング膜の損傷で、凝着物との境界部での結晶配列の整合性はなく、コーティング内の塑性変形も軽減されており、工具摩耗軽減効果が得られた現象状の確認がとれた。 2.チタン合金切削時におけるコーティング膜損傷に及ぼすコーティング成膜条件の影響 チタン合金切削時に生じる凝着物の極微細化現象によってコーティング膜と結晶の整合性を伴ってα-TiがC軸が6-7度傾斜して付着する。そしてこの強固な付着によって凝着物が工具上を移動できなくなり、また微細化による凝着物の脆化によって切削により生じるせん断力のため凝着物内にクラックが発生、その伝播を止めることができないためコーティング内へ一気に伝播して大きくコーティング膜を損傷する。この現象は現在のコーティング膜組成系では対応できず、全く新規の組成系の開発が必要である。ただし、断続切削については、基材表面に平行方向にクラックが生じたことで破壊したことを観察できた。またドロップレットを起点としても熱衝撃によりクラックを発生させるので、対応としてはコーティング膜の薄膜化によってクラック発生位置を靭性の高い母材内へもっていくこと、またコーティング内の欠陥量の低減が有効であった。
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