形状創成放電加工用電極消耗予測システムの実験計画法援用による高精度化 【研究目的】棒状電極を用いた形状創成放電加工は電極消耗予測の精度が低いために実用化への目処がたっていない。その原因として、加工条件だけでなく棒状電極半径や電極回転数など多くの因子が影響していることによる実験結果のばらつきの大きさが指摘されている。本研究では実験計画法のL18直交表を用いた実験により、電極消耗に影響する因子とその水準の同定を行い、電極消耗予測の精度を上げることを研究目的としている。 【実験実施計画】平成28年度は電極消耗量と除去加工量の比(電極消耗率)を電極半径別に実験的に求め、その値をもとに電極消耗予測シミュレータを開発して、工具経路データの実時間修正の可能性を検証する。 【研究実施概要】平成27年度の研究結果から電極消耗が大きい加工条件を用いて放電加工実験を行い、積層円板でモデル化した先端半球状電極の円板毎の電極消耗率を算出した。その電極消耗率を用いた電極消耗予測シミュレータで等高線経路(直線経路および円弧経路)における電極消耗を予測し、加工実験に基づく電極消耗と比較した。その結果、以下の知見が得られた。1)電極消耗率を電極半径にかかわらず一定値とした直線経路(経路長31.4mm)の場合、実際の電極消耗形状と最大で0.53mmの半径方向推定誤差があったが、円板毎の電極消耗率を用いた場合、その誤差は0.40mmまで減少した。2) 同じ距離の直線経路よりも円弧経路のほうが電極消耗は小さく、平均でその差は0.31mmであった。3)電極先端消耗長さは加工距離に比例することが実験的に確認され、工具経路データの実時間修正の実現性が確認できた。
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