研究課題/領域番号 |
26420061
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
諏訪部 仁 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40202139)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 切削・研削加工 / スライシング加工 / 遊離砥粒 / マルチワイヤソー / 延性モード加工 |
研究実績の概要 |
本申請課題では,特殊樹脂で表面を覆ったワイヤ工具を用いて,加工中にダイヤモンド砥粒を懸濁したスラリーを供給しながらスライシング加工を行う方法で,従来の遊離砥粒方式や固定砥粒方式とは異なった第3のマルチワイヤソー方式を確立し,付加価値の高いウェハの創製を目指している.今年度はSiとSiCの2つの材料に関して以下のことを検討した. ○Si Siの切断では,SD#3000の微粒径ダイヤモンド砥粒を5%程度の砥粒濃度で作製したスラリーと5μmの樹脂厚みのワイヤ工具を用いて切断実験を行った.そこで,工作物を固定している接着剤部分を切断する際にワイヤが暴れる等の問題点を見出した.そして,現在は接着剤の特性が切断性能に与える影響について実験的に検討し,接着剤のガラス転移温度が高い方が切断性に優れることを見出した. ○SiC SiCの切断はSD#5000と#10000の微粒径ダイヤモンド砥粒を5%程度の砥粒濃度で作製したスラリーと5μmの樹脂厚みのワイヤ工具を用いて切断実験を行った.その結果,ワイヤの揺動振動を付加させながら切断加工した場合に,#10000の砥粒では最高で20nmまで小さくできることを明らかにした.また,#5000砥粒では,遊離砥粒方式の2倍程度の切断速度で加工できることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Siの方は問題点が明らかとなり,接着剤メーカーの接着剤開発開発と同時進行であるため,一歩一歩着実に進んでいる. それに対してSiCの方は研究室での研究活動の努力で進めることができるため,活動しやすい.それに加えて,昨年度選んだ砥粒によって本加工方式が対応可能な切断条件及び切断目的が見えてきた. 以上の様な理由によりで順調に進んでると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
Siの切断では,SD#3000の微粒径ダイヤモンド砥粒を5%程度の砥粒濃度で作製したスラリーと5μmの樹脂厚みのワイヤ工具を用いて接着剤の部部の切断性能を評価することに加えて,スラリー中の切りくずが加工にどのような影響を与えるのかを切断実験的に評価する. SiCの切断は切断速度の向上を目指してスラリ中の砥粒径を大きくしたときの加工特性やケミカル効果を添加したときの加工特性を実験的に評価する.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では工作物の購入費がかなり高額となる.そこで,今年度残金を次年度に回し,工作物の購入費に当たるため繰り越した.
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した金額ではSiC材料1個の値段であるため,次年度購入数を増やすことによって使用していく予定である.
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