研究課題/領域番号 |
26420063
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
水谷 秀行 中部大学, 工学部, 教授 (10201790)
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研究分担者 |
稲崎 一郎 中部大学, 中部大学・中部高等学術研究所, 教授 (30051650)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 切削加工 / 表面特性 / 残留応力 / 疲労試験 / 切れ刃形状 / 超音波振動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、切削によって材料表面に耐疲労性の向上に繋がる高い圧縮残留応力を生成する新しい加工技術を開発することであり、平成26年度は実験装置の構築を行うとともに、残留応力に及ぼす切れ刃形状、加工条件および超音波振動の影響についてその概要を把握するための実験を行った。本年度の研究経過および成果は以下の通りである。(1)既存の汎用旋盤と超音波振動装置を使用して、各種条件のもとで慣用切削と超音波振動切削面の残留応力を比較、検討するための実験装置を整備した。(2)切削面の残留応力に及ぼす切れ刃先端形状の影響については、バニシ作用の強い切れ刃形状を用いることによって切削面の残留応力は圧縮側に移行し、さらに超音波振動を付加することによって切削面にはより高い圧縮残留応力が生成されることを示した。(3)超音波振動切削は、表面特性の向上、特に圧縮残留応力の生成に効果があり、市販の切削工具チップを使用した場合でも、慣用切削に比べて切削面の残留応力は300~400MPa圧縮側へ移行し、耐疲労性の向上が期待できる結果となった。(4)切削残留応力と耐疲労性との関係を調べるため、平板繰返し曲げ試験機を研究室に導入し、切削面の耐疲労性評価実験の環境を整えることができた。 平成26年度中に設計、製作を予定していた新たな超音波振動切削装置は、当初の計画に比べてやや進行が遅れているが、現在、装置メーカーと協力して平成27年度上半期中の装置完成を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度中に製作予定であった切削用超音波振動装置は、実験に必要な仕様を満たす設計に予想以上の時間を要し、完成が遅れているものの、既存の装置を使って切削面の残留応力に及ぼす各種要因の影響が解明されつつあり、高圧縮残留応力生成のための条件を幾つか特定することができた。また、研究室に平板繰返し曲げ試験機が導入できたことは切削面の耐疲労性評価のための実験推進に大きく寄与し、研究体制の強化が図られ、研究1年目としては、次年度以降に繋がる成果があったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
製作が遅れている超音波振動切削装置は、平成27年9月の完成を目指し、テスト加工を経て27年度中にこれを用いた新たな実験結果が得られるよう研究を推進する。また、切削面の高圧縮残留応力生成条件の探索については、特殊切れ刃形状と超音波振動を併用して表面特性の向上につながる効果的な切削方法の確立を目指す。さらに、平成26年度に導入された疲労試験機(平板繰返し曲げ試験機)を用いて各種切削試料の破断までの繰返し数を求め、切削による表面特性向上効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度中に購入予定の超音波振動切削装置(特注品・計上予算1,300,000円)の製作、完成が遅れ、本装置の購入およびこれを使用して行う予定であった実験用経費の執行が平成27年度に持ち越しとなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度上半期中に上記装置を製作、購入し、これを用いた切削加工実験を推進するため、前年度繰越金を使用する予定である。
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