研究課題/領域番号 |
26420068
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研究機関 | 秋田県産業技術センター |
研究代表者 |
久住 孝幸 秋田県産業技術センター, その他部局等, 研究員 (40370233)
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研究分担者 |
池田 洋 秋田県産業技術センター, その他部局等, その他 (90573098)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電界 / ラッピング / 砥粒 / ウェーハ / 研磨 |
研究実績の概要 |
○電界砥粒制御技術をラッピング加工に適用した電界ラッピング技術について、6インチサファイアウェーハ基盤を被削材として研磨実験を行い、基礎的な効果について検討した。そして、既存の銅定盤を用いたラッピング加工と比較して、以下の結果を得た。 (1)高価な金属製定盤に代わって安価な樹脂製定盤を用い、上部定盤と下部定盤間に高電圧を印加して砥粒を配置制御する電界ラッピング技術を確立し、6インチウェーハ用片面電界ラッピング装置を構築した。 (2)電界ラッピング装置による電界印加研磨実験により、6インチサファイアウェーハ3枚の加工において、従来の銅定盤を用いたラッピング加工と比較して32%の加工時間短縮効果を得る17μm/hの研磨レートを得た。 (3)構築した電界ラッピング装置による研磨品位は、平坦度については従来技術並みであった。一方で、表面粗さについては、従来技術の半分以下の粗さに抑制でき、Rmax=16nmという優れた結果を得た。これより、次工程であるCMP工程における研磨除去量を半減することが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電界ラッピング技術の基礎的な効果(研磨効率向上、表面品位の高品位化、副資材である研磨定盤の価格の抑制)について、サファイアウェーハを被削材としてその効果の有用性を示した。この際、ダイヤモンド砥粒が樹脂製定盤上で作用するメカニズムについて明らかにすることができ、砥粒保持メカニズムの解明については当初予定よりも進捗している。 しかしながら、研究の対象であるSiCウェーハについて、その研磨屑と砥粒の分離工程を検討する予定であったが、その効果を確認する観察装置構築が、当初予定より3か月遅れで進捗している。各種設計や部品調達は進んでいるものの、任意電極パターンを製膜した透明電極の調達ができておらず、観察装置がまだ完成していない。 以上を踏まえて、現状の進捗は順調に進展している、もしくはやや遅れている程度である。
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今後の研究の推進方策 |
任意パターンを製膜した透明電極は、現在発注作業中で観察装置の完成を早期に目指す。 また、予備検討を実施しているが、ダイヤモンドとSiCはやはり電気特性が近似しており、顕微鏡下の静的な電界印加挙動観察を行ったところ、分離動作が困難な可能性があるため、他種砥粒(cBN)や、酸化剤のアシストなど、様々な副資材について調達し、電界下の挙動観察をすすめて効果的な研磨効率・研磨品位向上効果を狙う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度予定していた砥粒挙動観察装置に利用する透明電極の納期が年度内に収まらなかったため、次年度の発注とし、その所要額を繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
納期が間に合わなかった透明電極代として利用する。
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