研究課題/領域番号 |
26420069
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
由井 明紀 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 教授 (70532000)
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研究分担者 |
北嶋 孝之 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (50546174)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サファイアウエハ / ダイヤモンドカップ砥石 / 振動研削 / 正味研削時間 / 研削比 / 自生発刃 / 摩滅摩耗 / 砥石切込み速度 |
研究実績の概要 |
試作したスピンドルシステムを搭載したインフィードロータリ研削盤を用いてサファイアウエハの振動援用研削実験を行い,以下の結論を得た.砥石振動振幅の上昇に比例して砥石切込み速度は高くなる.振動を付与しない場合は,ウエハ上に脱落した遊離砥粒のラッピング作用により摩滅摩耗が促進し,砥石摩耗高さが大きくなる.振幅5~10μm p-pの領域では研削油剤の侵入が容易になり,切り屑の排出が促進され,砥石摩耗高さは1μm以下まで小さくなる.10μm p-p以上では,砥石とウエハの衝突速度の上昇に伴い砥粒が脱落して砥石摩耗高さは大きくなる. 振動を付与することで正味研削時間は短縮される.これは,砥石の切れ味が良くなったことに起因する.振動振幅が大きくなる砥石と工作物が離れて仕事をしない時間が長くなり,正味研削時間は徐々に長くなる. 振幅1μm p-pの条件では,振動周波数の上昇に伴い,砥石切込み速度は上昇するが,やがて切込み速度は約9μm/sでほぼ一定になる.これは,砥石振動周波数の上昇に伴い振動振幅が減衰することにより,砥石切込み速度の上昇が制限されることに起因する.振動を付与しない場合は摩滅摩耗により砥石摩耗高さが大きくなる.振動周波数が8.6Hzまでは,自生発刃が活発になるため振動周波数の上昇に伴い砥石摩耗高さも大きくなる.8.7Hzを超えると,砥石摩耗高さは徐々に小さくなる.これは砥石の自生発刃が一定になることによる.一方振動の重畳により遊離砥粒や切り屑の排出も活発になり,砥石の摩滅摩耗が抑制され,砥石摩耗高さは徐々に低下する. 振動を付与しない場合に正味研削時間が205sと長いのは,砥石の切れ味が悪いためだと考えられる.周波数8.7Hzで正味研削時間は180sで最小値となり,振動を付与しない場合より約12%短縮される.
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