研究課題/領域番号 |
26420070
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研究機関 | 富山県工業技術センター |
研究代表者 |
川堰 宣隆 富山県工業技術センター, その他部局等, 研究員 (30443419)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 超精密切削加工 / 単結晶ダイヤモンド工具 / 集束イオンビーム / cBN工具 / 熱処理 / 機能性表面 / テクスチャ |
研究実績の概要 |
本研究では、集束イオンビーム(FIB)加工および熱処理等によるダイヤモンド、cBNの表面構造の改質等を利用して、加工単位数百nm~数μmの加工性に優れた精密加工用切削工具の開発とその応用化について検討している。昨年度の結果よりFIB照射した単結晶ダイヤモンドを適切な条件で熱処理することで、照射部の非ダイヤモンド相が選択的にエッチングされることを明らかにした。これを応用することで、工具すくい面に凹形状の微細なテクスチャの作製できる。これによって、ダイヤモンド工具すくい面の摩擦が減少し、加工特性を改善することができる。 本テクスチャ作製法の高能率化のため、紫外線レーザを利用したテクスチャの作製法について検討した。FIB照射した単結晶ダイヤモンドに微弱な紫外線レーザを照射すると照射部のみが選択的にエッチングされることを見出した。本現象の各種条件依存性について検討した。その結果、FIB照射のドーズ量、イオンエネルギによって、加工速度、加工深さが変化することを明らかにした。またGa除去処理を適用することで、高精細な微細構造形成が可能である。この原理を応用することで、幅サブミクロンオーダ、深さ約80 nmの微細構造形成が可能であることを明らかにした。 さらに微細なテクスチャを他種の工具へと適用するため、ナノ多結晶ダイヤモンド(NPD)やバインダレスcBNへのテクスチャの作製について検討した。NPDにFIB照射後、適切な条件で熱処理することで、テクスチャの作製が可能であった。一方、その加工特性は単結晶ダイヤモンドのそれとは異なる。バインダレスcBNの場合、空気中で熱処理してもエッチングは進行しない。FIB照射後、アルミニウムを蒸着し、熱処理することで、微細構造の作製が可能であった。これらの結果より、NPD工具やバインダレスcBN工具に対してテクスチャを作製できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は紫外線レーザを用いた高能率なテクスチャ作製法や他種工具への応用化について検討し、その有用性を明らかにした。今後は実工具へと適用し、工具としての有効性について検討することで、さらなる加工特性を改善した超精密切削加工用工具の開発が可能になると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年度開発したテクスチャ作製法を応用して、各種工具へのテクスチャ作製を行う。これを用いて超精密切削加工による加工実験を行い、テクスチャが加工特性へ及ぼす影響を明らかにする。さらに、耐摩耗性等へ及ぼす影響や難削材加工への応用についても検討し、本工具の有用性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は工具購入費用として物品費を多く計上してあったが、テクスチャの作製法に関する研究の割合が多くなり、工具の購入が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、本年度の結果を応用した加工実験を行う予定であり、その際の工具購入費用とする予定である。
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