研究課題/領域番号 |
26420072
|
研究機関 | 兵庫県立工業技術センター |
研究代表者 |
浜口 和也 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 研究員 (20470239)
|
研究分担者 |
平山 明宏 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 研究員 (20510530)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | エンドミル / 超弾性合金 |
研究実績の概要 |
医療用材料として使用されている超弾性合金は、主としてエッチングなどによって製作されているが、溝の幅と深さの比が小さく、矩形溝など単純な形状しか加工できないのが現状である。このため、カテーテルとして使用する際には性能が限られるほか、取付け可能なセンサ形状も限定されることから、カテーテルの高機能化にはアスペクト比が1以上となる深溝や自由曲面などの微細加工が必要とされている。また、超弾性合金はエッチング速度が遅いために生産性が低く、生産性を向上できる加工法も求められている。そこで本研究では、超弾性合金に対して直径1mm以下のマイクロエンドミルを用いた切削加工を適用することによって、自由曲面を有する3次元形状の加工などを実現し、カテーテルの高機能化を目指す。 平成26年度は、超弾性合金に対する各種工具の切削特性を明らかにするために、多結晶ダイヤモンドエンドミル、cBNエンドミルを用いた切削加工実験および評価を実施した。切削加工実験では位置決め精度100nmの3次元形状精密加工装置を用いることにより、切込み量が数ミクロンとなるような平面加工を実施した。主軸回転数などの切削条件を変化させ、切削加工中に切れ刃にかかる抵抗、切削加工後の切れ刃における工具摩耗形態および逃げ面摩耗幅、加工面性状について評価した。その結果、主軸回転数を上昇させるにつれて摩耗幅が減少するなど、超弾性合金に対するエンドミルの切削特性を明らかにできた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多結晶ダイヤモンドエンドミル、CBNエンドミルを用いた切削実験が順調に進み、切削加工後の切れ刃摩耗状態、超弾性合金の表面性状の評価方法なども確立できたことから、各種工具における切削特性を明らかにできた。これらは概ね当初の計画どおりである.
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度に使用したエンドミル切れ刃は、超弾性合金の切削加工における工具寿命延長に適した形状ではないため、平成27年度は工具摩耗を抑制して工具寿命を延長できる切れ刃形状を開発する。平成26年度に明らかにした特性を基にしながら、エンドミルの円弧部の半径をはじめ、すくい角、逃げ角、すかし角などを変化させて切削加工実験、評価を繰り返すことにより、工具寿命を延長できる切れ刃形状を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画当初は、多結晶ダイヤモンドエンドミル、cBNエンドミルともに開発工具として所要の切れ刃形状のエンドミルを使用する予定であった。しかし、予備実験において市販の切れ刃形状でも問題なく切削加工できことから、切削特性の解明には市販工具を用いた。その結果、物品費を大幅に抑制することができた。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度は切れ刃形状の開発に取り組むため、マイクロエンドミルの購入費に充当する。前年度の研究費と合わせることによって、すくい角などの条件を増やすことができるため、より適正な切れ刃形状の開発に取り組むことができる。このほか、調査および研究成果発表などにも使用する予定である。
|