研究課題/領域番号 |
26420073
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊達 宏昭 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (20374605)
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研究分担者 |
金井 理 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (90194878)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大規模環境 / 3次元計測 / レジストレーション / レーザ計測 / Structure from Motion / 点群 / メッシュ |
研究実績の概要 |
1) 計測データ統合のための基盤技術開発: (a) 様々な計測システムから得られた環境の3次元計測データ(点群)を統合利用するために必要となる計測データ表現法とファイル管理方式案を定め,これらに基づいた統合点群処理向けの基本ソフトウェアの開発を行った.(b) 地上設置型レーザ計測(Terrestrial Laser Scanning, TLS)システムから得られた複数計測点群を,地面平面への点群投影により得られる画像を用いて,頑健で効率的にレジストレーションするアルゴリズムを開発した.(c) 車載型レーザ計測システム(Mobile Mapping System:MMS)から得られたデータにみられる同一箇所を複数回計測した点群間のずれを,MMSの走行軌跡に沿って連続的に完全自動で修正するアルゴリズムを開発した.(d) 環境計測時におけるTLSの最適設置位置を,計測対象物のモデル化に必要な空間の計測確率の最大化により求めるアルゴリズムを開発した. 2) 異種計測システムの計測データ統合アルゴリズムの開発: (a) TLS点群と近距離計測用デプスカメラ計測点群との自動レジストレーションアルゴリズムを開発した.本手法は,1)(b)のアルゴリズムにおいて,複数層に分割した点群の地面投影により得られる複数の画像を採用することでレジストレーションにおける対応抽出性能を向上し,大規模環境計測点群の局所計測点群による補完を可能にした.(b) Structure from Motionにより得られた計測メッシュと,MMS計測点群とのスケール調整を含む自動レジストレーションアルゴリズムを開発した.開発法は市街地の計測データを対象としており,建物の鉛直エッジと地面平面との交点集合から得られる相似変換不変量を求め,RANSACアプローチとハッシュを用いて効率的なレジストレーションを実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) 基本データ構造確立と基本点群処理機能実装について:点群管理と利用に必要となる属性情報を整理して基本データ構造ならびにファイル形式を設計し,これらに基づいた点群処理の基本ソフトウェアを開発した.また,基本処理機能(近傍探索,法線計算,点分類機能等)と幾つかのレジストレーション機能を基本ソフトウェア上に実装した.以上より,計測データ品質の定量評価指標の構築を除いて,年度目標を達成できた. 2) 粗密制御と効果的点群表示手法の改良について:OpenGLのDisplay ListならびにVertex Buffer Objectを用い,一様な点間引きによる粗密制御表示が可能な大規模点群表示機能を基本ソフトウェア上に実装し,おおむね年度目標を達成できた. 3) 異種計測システムの計測データ統合について:当初予定していたMLS・TLS点群統合にかわり,次年度目標であった大規模点群-近距離計測点群の統合技術を開発した.また市街地の計測データを対象として,近年広い分野で注目を浴びているSfMによる計測メッシュとMLS点群とを統合する技術を開発した.開発手法を複数の実計測データへ適用し,その有用性を確認した.研究項目の順序を一部変更したが,次年度目標の一部を達成し,更により進んだ新たな項目の開発を行うことができた. 4) 最適計測位置推定について:TLSによる環境計測において,ボクセルを用いた空間分類に基づき,対象物をより効率よく計測できる計測位置や未計測領域を最小化可能な計測位置を推定するアルゴリズムを開発し,簡易的なプラント設備の計測シミュレーションによりその有効性を確認し,おおむね年度目標を達成できた.
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今後の研究の推進方策 |
1) 異種計測システムの計測データ統合技術開発: (a) 平成26年度に開発したSfM計測メッシュとMMS計測点群のレジストレーション手法を市街地以外の環境へ適用可能となるように拡張する.(b) 平成26年度に開発した点群投影と画像を用いたレジストレーション法を拡張し,MMS計測点群とTLS点群の自動レジストレーションを実現する.更に,計測点群や計測メッシュの様々な品質を定量評価する指標を考案し,レジストレーション前後の点群の定量的な品質評価を行う. 2) 計測シミュレーションを用いた最適計測化:空間の八分木構造を導入し,大規模環境へ適用可能となるように開発手法を拡張する.更に,TLS,デプスカメラ,近距離レーザスキャナの計測特性をモデル化した計測シミュレーションシステムを開発し,最適計測器選定を含んだ大規模環境の最適計測位置推定を行う手法を確立する. 3) 点群のロバスト特徴推定: ロバスト主成分分析の理論へ点群属性情報を導入することによる,統合点群のロバストな主成分分析手法を確立する.開発手法を用いた点群の法線推定,近似曲率推定,点分類,ならびにフィーチャ(基本曲面)抽出手法を確立する.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に資料整理用物品を購入したが,会計手続き上,清算処理が次年度になったため.
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次年度使用額の使用計画 |
既に執行済み.
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