潤滑下でのしゅう動において、ごく初期にしゅう動面に固着した凝着物がその後の現象を長期にわたって支配することに着目した。しゅう動初期において凝着物が固着する場所と凝着物の規模を支配する要因の解明を試みた。しゅう動前の影響因子である表面粗さと残留応力の分布、しゅう動中の影響因子である衝撃荷重を調査対象として取り上げた。金属表面への表面粗さの付与と残留応力付与は、いずれも常時摺動試験片上での凝着物の生成を助長する傾向と、相手試験片への凝着物の移着を妨げる傾向が確認された。また、衝撃荷重については凝着物の移着等への有意な影響は見られなかった。凝着物の発生・成長とその固着を制御できる可能性が示された。
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