研究代表者らは、精密加工などで使用される静圧空気軸受式エアタービンスピンドルに対して、気体用超精密高速応答圧力レギュレータを用いた回転数制御機構を適用することを提案し、その有効性と省エネルギー性能を実証する研究を進めてきた。本年度は、その提案方法により回転数制御された静圧空気軸受受式エアタービンスピンドルを用いた難削材の切削加工実験を行った。実験において、回転数制御が有効に作用しただけでなく、供給圧力の変化量と工具の逃げ面摩耗量の間には、高い相関性と再現性がみられた。このことより、供給圧力の変化量を利用して切削工具の逃げ面の損耗の進行をインプロセスにて推定する方法を提案し、種々の切削加工条件において実験を行い、その妥当性・有効性を検証した。 また、ダイヤモンド工具のツルーイングのための超精密研削加工など、加工の用途によっては、静圧空気軸受のスラスト及びラジアル方向の軸剛性を加工の進行に応じて、段階的に変化させることが求められている。このような背景を踏まえ、静圧空気軸受式エアタービンスピンドルのサイズを変更せずに、静圧空気軸受への供給圧を高速・精密に制御することで、軸剛性を変更する方法を提案した。スラスト軸受とラジアル軸受への空気の供給流路がそれぞれ独立した静圧空気軸受式エアタービンスピンドルを製作し、供給空気圧を提案方法により変化させた際のスラスト・ラジアル方向それぞれの軸剛性を測定し、提案方法の妥当性・有効性を検証した。
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