研究課題/領域番号 |
26420107
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
岩田 修一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00293738)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非ニュートン流 / 粘弾性流体 / 流動複屈折 / 伸長粘度 |
研究実績の概要 |
平成26年度には,可視化用光学セル実験装置の組立てと圧力振動場での気泡近傍の応力測定実験を実施した.0.03M CTAB/ 0.23M NaSal水溶液に中空ガラスビーズ(平均粒径40μm)を分散させたものを石英セルに満たし,シリンジにより4μLの単一気泡を設置した.100Hzの圧力振動を印加し,気泡近傍のトレーサーの変位を偏光高速度カメラにより,解像度512×512pixelsのグレースケール画像を可視化した.ここで,被写界深度が浅い望遠マクロレンズを用い,気泡が明瞭になるように焦点を合わせることにより,気泡中心を通る面におけるトレーサーだけを撮影することが可能となった.フレームレートが高いため被写体にパルスレーザーやレーザー光源を用いた円形平行光源を利用した.気泡の最大膨張時と最大収縮時に観測されたトレーサーと気泡界面形状の座標をPTV手法により評価し,気泡下部に位置するトレーサーが収縮時に大きく変動することが明らかになった.次に気泡下部のトレーサーを用い,Henckyひずみと一軸伸長変形速度を求めた.気泡界面に接近するにつれて一軸伸長速度が急激に増加することが明らかになった.一方,Henckyひずみは小さな値であり,ミセルの構造変化は生じていないことが示された.また,トレーサーを含まない条件で偏光高速度カメラで撮影し,収縮時に気泡下部に強い遅延が観測された.これは,強い複屈折が存在し,強い応力が生じている.さらに,前述の一軸伸長速度と遅延分布を比較すると,気泡近傍に接近するにつれて,両者は増加し,同様の挙動が得られた.これより,気泡下部の遅延は一軸伸長変形が大きく影響していることがわかった.これとは別に,種々の粘弾性流体を用い,圧力振動場における気泡運動特性を実験的に比較し,レオロジー特性の違いにより気泡上昇速度が大きく異なることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画は,気泡近傍の流れを可視化する手法についての検討が中心であり,研究実績の概要で示したように,計画通り完了した. なお,偏光高速度カメラは利用できる期間が限られているため,より有効にデータ取得が行える方法を検討したい.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,気泡近傍の速度分布の取得に関して,引き続きデータ収集を行う.また,流通系圧力振動場を可視化できる実験装置を作成し,流路形状が気泡の運動に与える影響を実験的に評価する.成果の一部は,流体流れのモデル化に関する国際会議CMFF'15(ブダペスト),日本機械学会流体工学部門講演会にて発表する予定である.
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