直噴ガソリンエンジン筒内流動と燃料噴霧の相互作用において噴射時期に応じた筒内雰囲気圧も考慮する必要がある.27年度迄に作成した雰囲気圧を吸気行程模擬の大気圧(0.1MPa)からTDC近傍の高圧(本研究では最大0.4MPa)まで可変の高圧風洞を用い,一様横風流速を0~5m/secまで変えた場合の噴霧先端到達距離,横風を受けた時の曲がり等の噴霧特性を調査した. 噴霧内PIV計測から,高雰囲気圧下では燃料噴霧の垂直(噴射軸)方向速度分布は下部で均一化され高速領域はノズル出口後噴霧上部の濃い領域のみに存在し,横風下で垂直方向最大速度は小さくなる一方,水平方向速度は横風下流方向にある周期・波長で振動しながら徐々に増大し,横風速度より速い領域が現れることが分かった.また,横風の有無を問わず垂直方向先端到達距離は時間の平方根に比例への移行も早まることで短くなるが,水平方向先端到達距離は時間に比例かつ横風下で噴霧が下流に拡がり更に長くなる.噴霧と横風の運動量比が同一でも雰囲気圧を変えると密度,横風流速条件も異なるが,横風上流側の噴霧曲がり形状が運動量比をパラメータとして表せることが噴霧輪郭画像から得られ,本実験式と実験結果は噴霧の下方一部を除き全体的に概ね一致し,噴霧の曲がりが予測可能である.また,噴射軸に垂直断面でザウタ平均粒径(SMD)の計測を行った結果,雰囲気圧増加に伴い噴射初期速度も低下することで微粒化が抑制されSMDは大きくなるが,横風条件下では噴霧全体でSMDが小さくなる傾向が得られ,噴霧縁から小粒径液滴が剥がされ下流方向に向かって噴霧コア付近で最大値を取った後減少する分布が得られた.
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