研究実績の概要 |
液相中に含まれる多数の気泡と固体粒子に対してそれぞれの気泡・粒子間の非線形相互作用を気液界面の多重極展開と気泡または固体粒子との分離距離に基づく漸近展開により考慮することで,気泡と粒子の並進運動ならびに気泡の体積振動と形状変形のモードに対応した力学方程式を導出した.得られた方程式を数値的に積分することにより,固気液分散相を形成する流れ場における気泡と粒子のふるまいを定性的に評価することが可能となった. 気泡と固体粒子の運動を記述する力学方程式の導出にあたっては,気泡間(気泡-固体粒子間)分離距離の逆数に関して5次の項までを考慮する必要があり,また,球面調和関数による気泡界面の展開に関しても3次の変形モードまでを扱った.このような大規模な数式の処理にあたっては,コンピュータ代数処理システムである Maxima を用いることで研究遂行の過程の高度な効率化が達成された. 実際に得られる力学方程式は,本研究の場合,一つの気泡に対して16本の2階の非線形常微分方程式となる.これらの方程式を本研究で導入されたワークステーションを用いて数値的に処理し,多数の気泡と粒子からなる系のふるまいをラグランジュ的な立場から評価することが可能となった.本研究で得られた数値計算コードにより1000個を超える個数の気泡クラスタにおける個々の気泡の変形を含む運動が数時間程度の計算時間で評価可能となった.これは,界面捕獲法による直接的な計算方法に対して極めて高速な処理が可能であることを意味する.
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