研究実績の概要 |
本研究は,周囲温度の変化に応じて発光強度が変化する発光分子(ポルフィリン化合物)を自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer, SAM)法によりガラス基板上に化学吸着させることで極めて均一な感温発光薄膜センサを作製し,微細流路内の温度分布を高い空間分解能でイメージング計測することを目的とするものである.平成27年度は,前年度に新たに合成した発光色素(tetra[3-(pentafluorophenoxy-succinyl-oxyethoxy)phenyl] porphyrin)を用いて感温発光薄膜を作製し,同様に前年度整備した倒立型蛍光顕微鏡によってマイクロメートルスケールでの表面温度分布計測を行った.その結果,ポリマーをバインダーとする従前の感温発光薄膜で生じていた発光分子の凝集も起こらず,均一な発光薄膜が作製されていることが確かめられ,本手法の有効性が実証された.また,発光薄膜の作製に際して,これまでわれわれの研究室で用いてきた超音波洗浄に替えてプラズマ洗浄を採用することで,発光薄膜の発光強度および温度感度が向上することも明らかになった.さらに,これらの成果の一部を第30回宇宙技術および科学の国際シンポジウムや第30回国際衝撃波シンポジウム,日本機械学会第93期流体工学部門講演会において発表した.
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