福島第一原発など廃炉に決まった原子炉の解体作業など水中構造物の切断に用いられる高性能水中ウォーターの開発を目標として,本研究では,鞘付きノズルシステムを設計・開発し,通気水中ウォータージェットの挙動を研究した。その上,流れ場の可視化解析によって通気鞘幾何形状の影響を考察し,鞘付きノズルの寸法と使用条件を検討して気泡流被覆水中アブレシブ・サスペンション・ジェット(ASJ)の生成手法を確立した。 昨年度では,前年度の研究結果をまとめ,研究論文を投稿し,学会発表を行った。主な知見は下記の通りである。 (1)通気鞘ノズルを用いて形成される気泡流被覆水中ウォータージェットの中心軸流速速度の減衰は遅くなり,ジェット運動エネルギーを保つコア領域は有効に拡張される。ただし,通気によってノズル出口噴流速度は若干低下する傾向があり,ウォータージェットの加工能力を確保するため,通気流量の調整が必要である。 (2)高速ビデオカメラ観察から,通気によって鞘出口近傍に形成される連続的気泡流領域は周期的に脈動し,その周波数は鞘内圧力で定義されたキャビテーション数に依存する。
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