研究課題/領域番号 |
26420128
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
高田 尚樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 集積マイクロシステム研究センター, 研究チーム長 (60357358)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 数値流体力学 / 濡れ性 / 混相流 / テクスチャ表面 / 多孔質媒体 / 接触角 / フェーズフィールド法 / 格子ボルツマン法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地質・環境・エネルギー・製造分野の様々な問題で共通して見られる、マイクロスケールの空隙が不規則に連なる多孔質媒体の内部で気体・液体・固体等複数の相が相変化を伴って混在して流れる複雑な混相流動現象を、従来よりも高精度・高効率に予測するための数値シミュレーション手法及びその計算コードの開発である。本年度は昨年度に続き、本研究者が提案しているフェーズフィールドモデル(PFM)と格子ボルツマン法(LBM)を採用する二相流体計算法に関する研究成果を基礎に研究開発を進め、以下の主要な成果を得た。 1.基材表面の微細凹凸構造による液体への毛細管現象を利用する高精細スクリーン印刷技術の開発において、提案手法を印刷インクのぬれ拡張・浸透のシミュレーションに適用し、その数値結果が実験結果と定性的に一致することを確認するとともに、被印刷基材表面の凹凸加工形状の設計指針を提示した。 2.提案手法による結果に与える計算空間解像度の影響を検討するため、液滴の滑落等シミュレーションを実施した。その結果、当該提案手法では、シミュレーション結果が空間解像度に依存して変化し得るとともに、変形する界面の曲率に応じてある一定以上の解像度を界面近傍で確保すればシミュレーションは解像度に依存せず同じ結果が得られることを確認した。 3.本研究で主な対象となるマイクロスケールで低Reynolds数・低Capillary数条件下の流体現象を数値的に安定的かつ高精度に計算可能にするため、文献に基づきLBMのモデルの改良を検討した。2次元ベンチマークテスト計算を実施した結果、LBMの衝突演算においてこれまで使用していた単一緩和時間(SRT)モデルに代えて二緩和時間(TRT)モデルを採用することにより、計算コードの簡易な変更で数値安定性と計算精度を同時に向上可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
空間・時間平均に基づく相変化を伴う多孔質体内二相流計算手法のより詳細な検討を行うのに時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
連携研究者や所属機関内外の他の研究者との協力、及び、流体力学・材料科学・非平衡熱力学・計算科学に関する幅広く情報交換を積極的に促進し、多孔質体内相変化二相流計算手法の開発とベンチマーク問題への適用・評価・評価を効率的に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初支出予定の旅費、消耗品用物品費及び論文英文校閲等費用の一部を他の予算で負担したことにより次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
国内外での成果発表及び情報収集のため、国際会議及び国内講演会・研究会等参加にかかる出張旅費及び参加登録費、投稿論文の英文校閲等に使用する。
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