研究課題/領域番号 |
26420130
|
研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
多田 茂 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 教授 (70251650)
|
研究分担者 |
塚本 哲 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 講師 (90511460)
江口 正徳 一般財団法人ファジィシステム研究所, その他部局等, 主任研究員 (60613594)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 細胞分離 / 誘電泳動 / 交流電場 / 出芽酵母 |
研究実績の概要 |
開発するDEPデバイスの性能として、①細胞試料に微量(<0.01%)に含まれる特定の細胞の分離が精度よく短時間で可能である。②電場・Joule発熱による細胞のダメージを極力抑える。の2つを目標に実験を行った。 提案するDEPデバイスの細胞分離性能を評価するため、細胞試料に培養出芽酵母の生・死細胞を用いた。流路に負荷する交流電圧は、電極-細胞間のDEP力が失われない程度に限りなく小さくし、交流のピークツーピークの値を3Vに設定した。流路寸法は1mm(高さ) ×10mm(幅) ×50mm(長さ)とした。流路内に配置する電極については、流路上面は平板ITO電極とし、流路底面は櫛型電極とした。櫛型電極の幅は出芽酵母の平均径(~6um)を考慮し50umとした。櫛型ITO電極はフォトリソグラフィー法で製作した。流路のテストセクションは上・底面のITO電極板に厚さ1mmのシリコンゴムシートを挟んで製作し、細胞試料はシリンジポンプを用いて流路上流から一定の流量で連続的に供給した。細胞試料の生・死細胞の比は4:1とした。 実験はテストセクションを倒立型顕微鏡のステージに設置した後、細胞試料を導入する。流路内に細胞試料が十分に分散した後、波形発生装置を用いて流路に交流電圧を負荷し、細胞分離の状態を動画で記録した。周波数を1,2,10Mの3通り,試料の分散媒を、超純水,ショ糖等張溶液(非電解質),培養培地,の3通りに変えて、周波数と分散媒の性質が細胞分離性能に与える影響について調べた。 生細胞は正のDEP力により流路底面の電極の縁に吸着される一方で、死細胞の電極への吸着はほとんど見られず、提案デバイスにより細胞の分離が可能であることが分かった。細胞分離性能は交流周波数が1MHzの時に最大効率を示し、同じ周波数では、超純水,ショ糖溶液,培地の順で細胞分離能力は低下した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目標である出芽酵母の生・死細胞を効率よく分離する方法を見出すため、交流周波数,細胞試料懸濁液種類(導電率)の違いが分離性能に与える影響について調べた。本年度の研究で目標とする細胞分離のための最適条件を絞り込むことは出来たが、細胞分離を行う際に重要となる、流路内における生・死細胞の分布を調べるには至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度までに得られた基礎データを元に、ヒト正常細胞と異常細胞(癌細胞)の分離の実験を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度の実験計画にやや遅れが生じたため、実施予定だったヒト正常細胞、異常細胞を用いた実験を行う時間が取れず,実験に必要な細胞、培地その他消耗品類(使用有効期限が短い)の購入を見合わせたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の早い段階で必要物品を購入し、実験を開始する予定である。
|