研究課題
開発目標とするDEPデバイスの性能として、①細胞試料に微量(<0.01%)に含まれる特定の細胞の分離を精度よく短時間で行うことが出来ること。②電界・Joule発熱による細胞のダメージを極力抑えるため、負荷電圧は可能な限り弱く、デバイスの大きさはこれら因子への細胞の暴露時間を最小限にするため可能な限り小さくすること、がある。昨年度に行った出芽酵母の生/死細胞の分離実験と数値解析の結果を踏まえ、今年度では目標の一つであるヒト細胞の分離技術の確立を目指した実験・数値解析を行った。今年度の実験では、動物細胞を用いるためにマンニトール溶液を用いた。また、誘電泳動力が弱まる事を予想し、流路高さを昨年度より低く、0.5mm(高さ) ×10mm(幅) ×50mm(長さ)のDEPデバイスを製作した。流路上面には平板ITO電極、底面には幅・間隔共に50μmの対向式櫛形電極を配置した。流路は電極板とシリコンスペーサを重ね合わせて製作し、細胞試料の流量をシリンジポンプで調節した。細胞試料にはヒト正常乳腺上皮細胞(MCF10A)の生/死細胞を用い、生/死細胞の判別用に明視野観察では死細胞をトリパンブルーで染色し、蛍光イメージング観察では生細胞をCalceinで、死細胞をPIで染色した。培養したMCF10Aをマンニトール溶液に懸濁し、懸濁液の一部を熱処理して死細胞を準備する。細胞を染色後、生/死細胞を1:1で含む細胞試料を調製した。実験は、DEPデバイスを位相差顕微鏡、もしくは共焦点レーザー顕微鏡のステージに設置し、細胞試料を流路上流から導入し流路に周波数10kHz、電圧20V(peak-to-peak)の交流電圧を負荷し、細胞の挙動を調べた。死細胞は正のDEP力により高電位側電極に吸着する一方で、生細胞については電極への吸着は見られず、流路下流に集められた。分離効率は90%の値を示した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)
Electrophoresis
巻: 38 ページ: 印刷中
10.1002/elps.201600572
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