| 研究課題/領域番号 |
26420131
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| 研究機関 | 北海道大学 |
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研究代表者 |
田部 豊 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80374578)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 二次電池 / 物質輸送 / 電気化学 |
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| 研究実績の概要 |
レッドクスフロー電池内の活物質輸送現象を明らかにし、充放電効率に影響を及ぼす支配因子を特定するとともに、高効率を維持したまま大規模化を達成するための電池電極構造および電解液流動制御方法を提示することを目的とし、充放電性能と流動条件の関係を効率的に調べる手法、および電流密度分布を正確に測定する手法の確立を行った。さらに、これらの実験結果から活物質輸送現象のモデル化を行った。得られた主な成果を以下にまとめる。
１．充放電性能の評価において、電解液流量をスッテプ的に変化させることで、濃度過電圧の影響を効率的に定量化する手法を確立した。また、系統的な評価で問題となる電解液の状態変化につき、充放電性能とSOC変化から活物質濃度の補正を行うことで状態変化の影響を除外する手法も考案した。
２．負極集電板が5つに分かれた分割セルを作成し、さらに可変抵抗の調節により各電極を等電位に保ちながら、充放電時の電流密度分布測定を行う手法を確立した。これにより、電流密度測定用の各外部回路の影響を除外することに成功し、種々の仮定や補正を用いないより正確な電流密度測定を可能とした。測定された電流密度は、下流ほど低くなり、低SOCほど、高電流密度ほど分布が大きくなることを確認した。
３．物質輸送と電気化学現象を組み合わせたモデル化、定式化を行った。これにより、実験結果を用いて、活物質の電極表面への微視的な物質伝達係数を評価できるとともに、電流密度分布と性能低下の原因となる種々の過電圧の寄与度を評価可能とした。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に則した研究実施計画通りに研究を進めることができた。特に、電流密度測定手法においては、接触抵抗を含む各外部回路の補正を全く行わず、かつ複数の電流負荷装置を用いずに各電極を等電位に保つ手法を確立できた。これにより、種々の過電圧の影響解析が詳細に行えるようになった。また、本来長時間の運転が必要となる充放電性能の評価を効率化できる手法を確立できたことも、次年度からの電極構造影響の調査を進めるにあたり有用な成果と言える。
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| 今後の研究の推進方策 |
計画通りに、活物質の電極表面への微視的な物質伝達係数の定式化、電流密度分布および性能低下の支配因子の解明を進めて行く。ここで、前年度には行えなかった電極厚さ、形状、構造の影響についても考慮する。また、これまでに構築したモデルでは、電流密度分布を測定結果よりも過小評価する傾向があり、モデルに考慮されていない支配因子の解明も行っていく予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
物質輸送現象を解明する上で重要となる電解液流動用の定流量ポンプに対し、より高性能なポンプの選定、購入を次年度に見送った。これは、実験を進めて行く中で、脈動をどの程度抑える必要があるか、流動条件をどの範囲で変化させることが活物質輸送現象の解明に有効であるかを、より詳細に検討することが必要と判断したためである。
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| 次年度使用額の使用計画 |
早急に定流量ポンプの選定、購入を行う予定である。
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