研究課題/領域番号 |
26420137
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研究機関 | 東京都立産業技術高等専門学校 |
研究代表者 |
齋藤 博史 東京都立産業技術高等専門学校, その他部局等, 助教 (40401450)
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研究分担者 |
村田 章 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60239522)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 熱工学 / 流体工学 / 可視化 / 伝熱機器 / 気液二相流 |
研究実績の概要 |
電子機器やパワーデバイスなどの半導体冷却に用いられている高効率な熱輸送デバイスの一つである自励振動ヒートパイプは,細管内部の作動流体の沸騰・凝縮によって振動流を誘起させ,顕熱と潜熱の両方を利用し熱輸送を行う.しかし気液二相内部流動は高熱輸送量域では複雑に変化するため,熱輸送能力の性能予測や現象理解が進んでいない.本研究は,金属製溝型テストコアを用い熱輸送デバイスの熱輸送量と内部流動の同時計測による熱輸送・内部流動データベースを構築,二流体モデルによる性能予測と構成方程式の高精度化,を行い,気液二相流界面輸送現象の理解を深め,熱輸送デバイスの性能予測・性能向上を行うことを目的とする. 3年の研究期間の2年目は,初年度に引き続き,基本形状である加熱部・冷却部ヘッダとヘッダ間を繋ぐ矩形溝型複数細管流路を金属板にエンドミル加工し,蓋(可視化窓)を取り付け,その流路内部に作動流体であるアルコール,フロリナートを封入し,作動流体の相変化を利用した熱輸送デバイスを製作した.この並列細管型熱輸送デバイスは,内部に封入した作動流体が,加熱部と冷却部でそれぞれ沸騰・凝縮し,潜熱と顕熱による熱輸送を行う.実験は,加熱部をセラミックヒータにより電気的に加熱し,冷却部は冷却ジャケットに恒温水槽を用い冷却水を循環させることにより冷却する.熱輸送量の計測と同時に高速度カメラを用いた内部流動の撮影と画像解析を行い,熱輸送デバイスにおける熱輸送性能評価と,内部流動の可視化画像から画像処理による内部流動の特定を行い,液相と気相の時空間分布を決定し,その相関関係について調べた.その結果,熱輸送量の増加に伴い気相出現率が増加し,上昇流と下降流が生じる流路が決まった一方向流に変化することが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
伝熱実験は,金属板への溝加工によって作成した矩形溝型複数細管型テストコア(細管流路断面積2.0×2.0平方mm,細管長さ100mm,細管本数6本,ヘッダ断面積2.0×6.0平方mm,ヘッダ幅72mm)を用い,実験は鉛直設置条件で行い,作動流体にはエタノールとFC-72を用い封入率50%で実験を行った.その熱輸送性能評価と内部流動の可視化画像から画像処理による内部流動の特定を行い,熱輸送特性を調べた.実験結果より,熱輸送量の増加と共に気相の割合が増加するが,高熱輸送量時には気相出現率が増加し,振動流から上昇流と下降流が生じる流路が定まった一方向流が形成されることがわかった.また,エタノールはFC-72よりも低いヘッダ間温度差で作動し,同程度の熱輸送量を示すヘッダ間温度差はエタノールの方が小さい. 伝熱実験と並行して,二流体モデルを用いた数値解析を,細管部を一次元とした解析モデルを用い熱輸送デバイスの性能予測を試みた.
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今後の研究の推進方策 |
並列細管型熱輸送デバイスの細管部長さ,加熱冷却ヘッダ部サイズ,溝(細管部)断面形状の熱輸送量および内部流動への影響を調べるために,テストコアの幾何学的形状を変更したテストコアを製作し,作動流体の種類,封入率,加熱量,設置角度などの種々の実験条件を変化させ実験を行う.各実験条件における熱輸送性能評価と内部流動モードの出現時間割合をデータベース化する. 二流体モデル計算は,ヘッダ部を二次元モデルで扱う並列細管型での計算を試み,実験より得られた熱輸送量および内部流動の結果と比較し,構成方程式を含めた数値モデルの検証を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
分担金として配分した内の一部について,次年度に必要とされる費用に充てるため,一部を繰り越しをすることとした.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に予定している研究分担金での物品購入および成果報告のための旅費等への使用を計画している.
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