ナノ流体は、沸騰熱伝達における特に限界熱流束(CHF)を向上させる方策として注目を集めている。ナノ流体によるCHF向上は、主に、ナノ粒子層の形成によって、濡れ性や粗さ等の伝熱面表面性状が変化することに起因する。しかしながら、ナノ粒子層の付着状況は必ずしも強固ではないため、沸騰中にナノ粒子層の剥離がしばしば生じる。このため、本研究では、ナノ粒子層の付着力を実験的に定量化した。この結果、付着力はナノ粒子の材質に大きく依存することを示した。また、ナノ粒子層の剥離量の増加とともにCHFは低下、沸騰熱伝達率は向上する傾向のあることを明らかにした。
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